ギックリ腰で身動きが取れないとき、どうするか。ギックリ腰というのは腰に無理な力がかかったときに、脳が筋肉を緊張させて動きを止めて脊椎、脊髄を守ろうとする状態。列車の自動制御みたいなものよ。だから腰が痛くて身動きできないときに腰を直接緩めようという試みはなかなかうまくいかない。

 

ではどうするか。セラピストはクライアント(仰向けでもうつ伏せでも、それがムリなら座位でもいい)の踵を片手で把持する。もう片方の手でクライアントのつま先をもってゆっくり回してやる。無理のない程度に動きを大きくしてつま先で円を描くような感じで。はじめは足だけが動いているけれど2,3分間回しているとその動きが膝や股関節や骨盤に波及していき、最終的には足を回す動きに合わせてクライアントの上半身がゆらゆら動くようになる。

 

両足首でこの処置をしてやると腰が痛くて身動きできなかったものがいくらかでも立ったり歩いたりできるようになっていることが多い。

 

ようは腰を緊張させている脳からの信号を、末梢から少しづつ動かすことで解除していくということね。

 

寝違えでも同じことで、就眠中に変な姿勢をとったままでいると脳が頸の筋肉を緊張させて動けなくする。寝違えを中国語で「落枕」というらしいけれど何が原因で頸が痛くなるのかを古人はよく観察していたんだろうね。

 

この場合もいきなり頸をさわるのはよろしくない。(プロのセラピストでもそんなのがいるらしいけれどな)足首をぐるぐる回してやると徐々に頸が緩んでくる。ギックリ腰と違ってこちらは自分でもできる。

 

足首を回して腰や頸の緊張を緩めるやり方をオレは整形外科のリハビリのお兄さん時代に鍼灸マッサージ師の師匠から教わった。「頸(の症状)は足首で取れ」と漢方では言うらしい。古の人びとも首の痛みをこらえながら足首を回していたんだろうか。

 

ゆるジャンプというダイエット法があるそうな。まっすぐ立ってその場で軽く小刻みにジャンプする。縄跳びを縄なしで行うような感じか。オレもやってみたけれどお腹がたっぷんたっぷん揺れるからきっとやせるんだろう。これ以上太るようならやりますよ。やりますとも、いつかそのうちにね。

 

それでこのゆるジャンプに別の効能がある、という。朝起き抜けにゆるジャンプをすると眠気が抜けて爽快な気分になるらしい。「さあ、一日がんばるぞ」という前向きな気持ちになるという。ダイエット効果もあるとしたらなんかいいことずくめよね。

 

それではどうしてゆるジャンプをすると気分が良くなるんだろうか。ゆるジャンプをした時に床から衝撃がかかとに伝わる。その衝撃はカラダのずっと上の方、首の一番上の骨のあたりにまで及ぶ。

 

実際、高所から足裏をついて転落した時の衝撃で第1頸椎が骨折するの。ジェファーソン骨折という名前がついているけれどこの骨はそういう機序でないと骨折しない。

 

もちろんゆるジャンプで骨折は起きないけれど、その時の衝撃が第1頸椎あたりにまで届くことは間違いない。実は首の一番上の関節(第1頸椎と後頭骨の間)は、自律神経のバランスをとるうえで非常に大切なポイントになっているの。ストレスを感じて心身が緊張しているときも、やる気のスイッチが入らないときもこのあたりの筋肉は緊張している。

 

だからウチの治療院に来院されるクライアントは症状がなんであれ、ここのところがカチカチに緊張していることが多い。入浴中にバスタブの縁で後頭部をゴリゴリしたくなることありませんか。あのあたりね。

 

ゆるジャンプをすると足裏からの刺激が首の一番上の関節周辺に伝わり、その結果として緊張が緩むのかもしれない。それが気分を爽快にする理由の一つなんだろうね。

 

外国の映画なんかで女性が怒ったときに足を踏み鳴らしたり、子供がわがままを言って地団駄を踏んだりするのも多分そうやって自律神経を調整しているんだろうね。朝起き抜けにゆるジャンプを行う回数は約50回。20秒でできる。そのくらいならオレもやってみようかな。

 

 

クラニオセイクラルに関する書籍を出版してもらってから、来院してくださるクライアントやセミナーを受講して下さる方に「本、読みましたよ」といってもらうことが増えた。

 

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それでねえ、先日おいでのクライアントが書籍にのっているクラニオセイクラルの手技をご自分の子供さんにやってあげたら困りごとが改善したと仰るの。これは嬉しかったね。

 

むかしむかし、講師をつとめていた柔道整復の専門学校で、卒業生対象のクラニオのセミナーを開催した。そのころは、まず脳脊髄液の循環をどうやって感じるか、という話から始めていたの。オレがクラニオを教わったときもまず脳脊髄液の循環を触診できるようになることがスタートだった。オレは根が単純なせいか、言われたとおりにやっていると割とすぐに脳脊髄液の循環がわかるようになった。でも不思議なことにスクールのインストラクターには「そんなにすぐにわかるはずがない」と笑われた。

 

どうも脳脊髄液の循環の触診というのが必要以上に難しい技術である、とどこかで誰かが呪いをかけたみたいなのよ。「20分練習してわからなければ一生わからない」ということがまことしやかに言われたりもしていた。(ひょっとすると20分も練習すればだれでもわかるようになるよ、という言葉がどこかで変質したのかもしれないけれど)

 

いずれにせよセミナーで初めに練習する触診がうまく行かなければそこで受講生の意欲は一気に削がれてしまうわけよね。それではつまらない。受講してくれた柔道整復師はよくわからんセミナーで一日潰しただけだし、その受講生からクラニオの施術を受けることでひょっとしたら人生が変わるくらいの恩恵を受けられたはずのクライアントも損したことになるよね。

 

そんなこんなで試行錯誤の後、クラニオのセミナーの構成を変えた。適応と禁忌を説明した後、正確な手の当て方から実技を始めるようにした。脳脊髄液の循環がわからなくてもちゃんとしたハンドオンができていればそれなりの効果は出るのよ。ホームケアであるならばそれで必要にして十分だし、他のセラピーにちょっと+αでクラニオの手技を加えてみたいというセラピストさんの目的にもかなう。

 

「世界で一番簡単なクラニオの本」というのが編集者さんとの打ち合わせで出てきたコンセプトなんだけれど、先日のクライアントさんのお話を聞いていると、どうやらその狙いは外れていなかったみたい。専門家だけでなく、家族のために使ってもらえるなら著者としては嬉しい限りよ。