より少なく、そしてより良く.. | 宮本の日記

宮本の日記

日本料理のお店を経営しておりますが、
料理とは無縁のひとりごとを書いております。

 

キンモクセイの綺麗な香りがする時期になりました。

10月に入り、ようやく秋らしい気候になってきました。

 

毎年10月になると、おせち料理の段取りを始める時期ですが、

今年はおせち料理作りを辞めることにいたしました。

お客様からの反響も大きいおせち料理の取りやめ。

 

楽しみにしているお客様が

沢山いることを承知の上の決断です。

 

辞めた理由は...

正直、大変だからです。

献立作り、箱の注文、食材の発注、備品の選択、顧客管理、おせちの制作....

 

営業をしながら、お節のことを考えてしまい、

目の前ことに集中出来ずに、結局全てがおろそかになってしまう。

僕は人一倍失敗が多く、

あまり器用ではないので、一つのことにしか集中できないのです。

 

実は今年の3月に、お弁当業務を辞めました。

理由は同じ理由です。

 

性格的に、そもそも断ることが苦手だった為、お客様のご要望を

あれこれ聞き入れ、飽和し、自分自身で勝手に自爆していました。

 

意外にもお客様にNOを言っても

「まっそうだよね」

と聞き入れていただき、案外スムーズにことが運んでおりますニコニコ

 

今は色々な事を手放し、

中途半端にあれこれ手を出す代わりに

やるべきことをしっかりとやり遂げることが出来ています。

 

そして本当に重要な仕事だけをやると決めてから

仕事の質も目に見えて改善されました。

 

あらゆる方向に1ミリずつ進むのをやめて、これと決めた方向に全力疾走できるようになったからです。

 

お陰で、仕事に余裕が出来て、家に帰ってからもゆっくり出来るようになりました。

以前は、仕事から帰ると、すぐにパソコンに向かっていたり

常に業者様と電話をしたり

ご飯を食べながら、メールを打ったりしてましたが、

嘘のように、寛げるようになりました。

 

人は「何もかもやらなくては」という考え方をやめて、断ることが出来たとき

本当に重要な仕事をやり遂げることが、可能になるのだと

心から実感しております。

 

今は欲張りな時代で、

「全部手に入れよう、全部やろう」

という考え方は世の中すみずみまで浸透しています。

テレビでは「あらゆる物をてにいれよう!」と叫び

人々は忙しい日々に

もっと多くの活動を詰め込もうとしているのです。

 

そもそも世の中の大半はノイズで、本当に重要な物は限りなく少ない。

自分で優先順位を決めなければ、他人のいいなりになってしまう世の中。

 

全てを手に入れることは不可能であり、何かを選ぶことは、すなわち何かを捨てることなのです。

 

「トレードオフ」

 

最近、ようやく学んできましたニヤリ

 

いくらか自信がついて来たので、仕事の基準をもっと厳しくしてみました。

「この仕事は、自分が今やれることの中で、重要であり、本当に自分がやりたい仕事なのか?」

と。

すると、答えがNOの仕事がいくつかありました。

それは、値段の安いランチなどです。

 

値段の安いランチは自分にとってあまり重要ではなく

自分が人生をかけて本当にやりたい仕事では...

ないのです。

 

「値段が安く、儲からないから」

という理由ではなく、素晴らしい食材を使うこと出来なく

食材を妥協して使わなきゃならない。

僕にとっては、仕事としてやりがいがないから

やりたくないのです。

 

ランチを辞めて

お客様が減るかな?と不安もありましたが

それどころか、以前にもまして、お店は忙しくなりました。

 

「スペースを空けると、大切な物が入ってくる。」

毎回感じることですが、不思議な感覚です。

 

今ではより良く、より少なく。

上質な時間を過ごせるようになりました。

 

忙しすぎると感じたり、常に走り続けているのに

どこもに辿り着けないような気がしている人は

断る、捨てる。切る。

という思い切った選択をしてみるも良いかも知れません。

きっと素敵なプレゼントがあることでしょう。

 

 

さて、お店は国産松茸がトップシーズンです。

 

松茸が好きすぎて、笑ってます。

頭おかしいです笑

 

 

調理場には良い香りが漂っております。

11月初旬頃までは、お楽しみいただけます。

 


 

日本料理 みや

 

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