私の半生の幻 00/N
99年2月 朝方
一つの幻を視た。
その頃、世の中は不景気で、其の影響は私の全ての仕事に及んできた。
過ぎ去りし日々を思い起こす時、これを視た。
延々と続く林があった。
その中に幅2m位の道があった。
道は整地され石は取り除かれ、つまずく物は何もなかった。
急な斜面は緩やかにされ、道の上は木の葉で覆われていた。
そして道の上の木は少し切られ、歩くには充分な光が差し込んでいた。
その道を歩いていくと、林の中へどんどんと入って行った。
少し登りがあり、又少し下りがあり、丘を幾つも越えると、川に出た。
見ると、道は山の中腹であって、川幅は100m以上もあった。
又、対岸には草地の丘があり、同じ高さから同じ様な道が続いていた。
ふと下を見ると、橋の制作の為100人以上の人が忙しく働いていた。
ア-チ橋の鉄橋の一部、手前側1/5~1/10位は出来ていた。
私は橋の掛かるまで、道の端(行き止まり)で待たざるを得ない事を悟った。
感じでは、未だ全工程の6~7割であった。
川の向こうは草地であったが、その丘の向こうには何があるのか?
私は何処まで歩くのだろうか?
橋が掛かるのに何年掛かるのか?
私一人の為に一体何百人の天使が道を造ったのか?
道を造った神の計画よりも早く歩き過ぎたのか?
幻の道を思い返す時、一人の人が歩く為に此れほど充分な道は何故に?
母親が我が子の旅行の為に、念には念を入れて造った道の様だ。
人間の母には不可能であっても、神には出来た。
世界一の王様にもこれほどの扱いはあったであろうか?
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