ヴィンス クラーク
バイス 2016
◎あなたは35年のキャリアを持ち、多くのアーティストが夢見るような成功を収めてきました。何があなたを突き動かしているのでしょうか?
実のところ、私にもわからない。誰かに何かを証明しようとは思っていない。ビートルズの「イエスタデイ」を聴いて以来、最高の曲を書こうなんて思ってもいない。
◎でも、何曲かそれに匹敵する曲があると言う人もいるかもしれませんね。
そんなことはない(笑)。でも、今のような環境に何もないアイデアもない状態で乗り込むというのは、どうなんだろうと思っている。そして、楽曲が出来上がってくる。本当に計画したわけでもなく、コンセプトを考えたわけでもないのに、今のようなシンフォニックな作品に仕上がる可能性があるんだ。つまり予測できないからこそ面白いんだ。
◎貴方の音楽の由来はどこからですか?
実は私はもっとも若い頃はフォークミュージックに興味があったんだよ。それかポップミュージックだよね。私はもともとアコースティックギターを演奏していた。だから今も私はもっぱらアコースティックギターで作曲をするんだよ。。。子供だった頃に興味があったのは。。例えばサイモン&ガーファンクルとかビートルズのアコースティックギターの曲、ポールマッカートニーがビートルズでやったようなやつだよ。だけど、僕が最初に具体的に興味を持ったのは、OMDの「エレクトリックシティー」のB面だった。私はそれを聞いたとき.。それは本当に簡単だった。そしてそれは私にはアコースティック音楽のように感じたんだよ。なぜならそれは感情でいっぱいだったからね。
◎アコースティックギターならば、ポールサイモンやボブディラン、ポールマッカートニーの様になろうとは思わなかったんですか?
思わなかったね。なぜなら、ビートルズの(イエスタデイ)を聴いた時に、(こんな曲、僕には作れっこない。この先に進んでは駄目だ。)という声が聞こえてきたんだ。私の道を進むべきだということだね。そして、他人と自分を比べるのは無意味だっていうことでもある。(イエスタデイ)はビートルズのもっとも有名な曲で彼らの曲の中で一番好きな曲だけど、そういう効果もあったんだ。
◎そしてあなたは自らの道をすすみ、ヴィンス クラークになったというわけですね。
うん。そうだね。でも80年代には(ヴィンスクラークはシンセポップのポールマッカートニーだ。)なんて言われたこともあったけどね(笑)。
◎ヴィンスクラークとマーティンゴアの作る楽曲の差は何から来るものですか?
簡単に言えばマーティンはロックに興味があり、私はポップに興味があったという事だね。
2018 アマゾナ
◎シンセサイザーの世界に入ったきっかけは何だったのでしょうか?
もともとデペッシュモードはシンセサイザーのバンドではなく、ギターバンドだった。アンドリュー フレッチャー(デペッシュモードの共同創設者)がベースを弾き、私はドラムコンピュータを使ってギターを弾いた。その時、初めてOrchestral Manoeuvres in the Darkを聴いたんだ。フレッチャーは、私の家の近所に住んでいたマーティン ゴアの友人だった。 彼はシンセサイザーを持っていて、ギターで録音したのと同じ曲をシンセサイザーでもう一度やろうということになったんだ。Orchestral Manoeuvresの最初の曲を聴くと、エレクトロニック ポップ ミュージックの黎明期には、シンセを使ったアレンジがまだ比較的シンプルだったことに気づくだろう。だから、シンセサイザーを買って使おうと思ったんだよ。
◎初めて手にしたシンセサイザーを今でも覚えていますか?
カワイ100Fだよ。