観たけど本欄にはアップしてこなかったが、テレビでランキング上位に入っているので、敢えて触れたくなった。『ミステリという勿れ』はテレビでの紹介で広島が舞台ということで観に行った。ドラマ編も、観たことないのだが、そもそも核心である人が亡くなる経過そのものが、分かるにつれて、荒唐無稽な造りなので、ストーリー展開や役者さんの演技は別に入り込めなくなる。ネタバレを避けるために詳細は書けないが、作品の発端になる部分にもう少しリアリティというか、少なくともあり得そうな設定を作り出してほしいかったということ。広島が舞台であるが、広島弁(じゃけー)以外に、地域的な特徴的あるシーンはなかったので、残念だが、菅田将暉さんえんじる主役が事件解決後帰郷するさいに広島駅ではなく東広島駅を使ったのが違和感があったが、唯一の地域性で笑えた。
先週封切りで観たのが、安藤サクラ主演(山田涼介との二人主演と書いたものもある)の『BADLANDS バッド・ランズ』だ。大阪で特殊詐欺を行うアウトロー映画なのだが、あれだけ社会的に問題になっている特殊詐欺の境に生きる人たちを、ドキュメンタリー的でも、なくエンタメとして作品にするということ自体が全くよくわからない。私は安藤サクラの演技力を評価していたので観に行ったのだが、導入から暗い環境の中で、早口の関西弁で怒鳴り合い、殴り合う展開に、ついていけない。途中から、腹違いの弟(山田涼介)との姉弟を軸に、父親を殺す羽目にもなり高額を手にして、さらなる巨悪と闘うことが中心になって行く。エンタメ的には安藤サクラが、その中で逞しくのがれていく姿なのだが、振り返っていったい観る人に何を訴えたいのか、甚だ疑問になる。芸術や文化の自由は何よりも大切なのだろうが、こんな反社会的な特殊詐欺事件を取り巻く環境、人物を描いて、どんな影響残したいのだろうか。
しかし、ランキングでは、紹介した二つが上位に入っているのだ。「ミステリー〜」は3週連続トップだという。「BADLANDS」は初登場2位だという。どうもこうした市民の反応と私との乖離が大きく、こちらが歳をとってきたからなのか、なんだかよくわからない。都内にいたら近くで名画座系の映画館もあったので、それなりの映画で時々を楽しむ事ができたが、そのような環境がないと、選択肢が狭くなっているのは間違いない気がする。
*因みにエンドロールでは、制作にジュリー藤尾Kとあった。この間、みなジャニーズ事務所ではなく、社長名だけを表示させている気がするが、映画界はどこも対応を発表してないのも気にかかることではある。