先週の沖縄滞在中、レンタカーがセットだった。ハワイなどもそうだが、じもとＦＭ局が一日中民謡を流す局がある。そうでなくてもＦＭ局のＤＪの微妙な沖縄イントネーションが耳から離れないでいた。（また三線購入にでも行くのではないかと思うほど）
そんな日に、ネットで思い立って飯田橋・ギンレイホールへ。シニア割は、二本で１０００円。「あさがくるまえに」(２０１６年フランス・ベルギー合作映画）
まだ学生のシモンだが、恋人と眠るベッドを早朝抜け出し、友人たちとサーフィンに出かける。その帰り道に交通事故にあい、脳死と判定される。呼び出された母親は別れた夫を呼び出す。臓器提供を奨められるが最初は怒る両親。一方、パリに暮らす音楽家のクレールは重い心臓疾患で残すは臓器移植しかないといわれるが、他人の心臓を貰ってまで生きることに抵抗を感じている。臓器移植に直面し葛藤する様々な人々の一日をフランス・ベルギー合作らしく素晴らしい映像と音楽がバックに流れ続ける。(自転車で街中を走行したり、サーフィンをしている海や波間の映像など息を呑むような映像、一方、青年を背景にしたロックと老音楽家は友人というより同性愛相手の音楽家の演奏会シーンなど）
ドキュメンタリーのように淡々とドナー側と患者側の様々な葛藤を淡々と描いていきながら、ついには、ドナーの人工心臓を遮断し、摘出しようという時に、若き医師がストップをかける。脳死状態のシモンに話しかけながら携帯のイヤーフォンを耳にかけてやり、恋人や両親のメッセージだといい、音楽を流してやる。何とも素敵な配慮だ。
臓器移植という重い内容だが、映像と音楽で深みと奥行きを与えて貰った気がする。
もう一つは、「女神の見えざる手」（２０１６年フランス・アメリカ合作）
映画館の案内には、「 天才的な戦略と冷徹な仕事ぶりで名を馳せる敏腕ロビイストのエリザベス・スローン。大手ロビー会社の花形として活躍してきたが、「銃規制法案」をめぐって小さな会社に電撃移籍する… 現在、アメリカに3万人いるとされ、政治を影で動かす「ロビイスト」の知られざる実態に迫る社会派サスペンス！ 」と書いてある。公式ＨＰなどでは、「彼女がアメリカを『毒』で正す」「オリンピック誘致、トランプ当選・・・その決定は彼ら(ロビイスト)の、見えざる手が左右していた」
などと過激な文言が並ぶ。さらに続けて曰く「政治家 の心や世論を動かし、マスコミも操作し、世界を変える決断に深く関与する。そんなプロフェッショナル集団＝ロビイスト。いったい彼らはどんな戦略を立て、その見えざる手で人々の心や巨大な権力すら操作するのか？
戦略の天才たちにモラルや常識は必要ない。危険な一線も越えて繰り出される秘策は、どんな武器よりも強力で過激！一瞬先も読めないロビイストたちの闘いが、かつてない興奮とサプライズ、感動をもたらす話題作が誕生した。 」とある。
あえて書かなかったが、今問題になっている銃規制強化法案に反対する側から、銃規制賛成派のロビイスト活動する「専門会社」での一人の女性の活躍なのだが、要は銃規制かどうかではなく、アメリカの政治がこのようなロビイスト活動によって大きく左右しているのだということを前世界に知らせてくれた意味において大きな功績だろう。
原題名は「Ｍｉｓｓ Ｓｌｏａｎｅ」とあり一人の敏腕女性を描いているのだが・・・・。民主主義としては歴史があるといわれるアメリカだが、その背景や社会、世論操作をも立派なビジネスにするという意味でも日本に先行するアメリカの病んだ姿であろう。日本も電通や博報堂に牛耳られているという点では変わりはなかろう。
夜は、四谷三丁目のシャンソニエ「蟻んこ」。友納あけみと松城ゆきのさんが共演するので、出かけた。第２ステージに間に合いそこから２ステージを堪能した。出演は、順に松城ゆきの、藤森可奈子、尾川京子、友納あけみ。
午後から夜にかけてフランス映画の映像と音楽、シャンソニエできいたシャンソンやカンツオーネ(日本歌もあったが）漬けで、どうやら沖縄モードが解除できたようだ。
【松城ゆきの】
