昨日なんだかぼけっとテレビで安倍さんが偉そうに喋ってると書いたが、今朝の新聞みてびっくり。あれは、アベノミクス第3の柱の「成長戦略」と経済財政・改革の基本方針、いわゆる「骨太方針」を閣議決定したあとの記者会見の様子だった。「日本再興戦略」と銘打って、何だかサブタイトルに英文まで入れて、まさに意気揚々というところ。
しかし、一般紙にも書かれているが、一般薬のインターネット販売の全面解禁は、素案レベルでは見送られていたものを民間委員が強引にねじ込んで首相判断でいれたり、大企業の法人税については今回は手をつけなかった代わりに、設備投資減税と研究開発減税をつけてきた。15年3月での復興特別法人税の終了とあわせて、まさに大企業の減税を進める。
一方で昨日も書いたように社会保障などに「聖域とせず見直しに取り組む」とえらそうにいって、高齢者の医療費、年金引き下げなどをやろうとしている。また、医療関係では一般薬のネット販売の他、保険外診療の併用による「混合診療」の拡大を打ち出した。それでなくても、今でも高度先端医療など海外や日本でも実績があり相当普及しているものだってその後、保険診療に認めていない。それを増やすということだから、だんだん民間医療保険でもかけていないと安心できないということになってくる。これこそ、TTPへの先駆けだ。今までもアメリカからの強い要望があった事項だ。TPP交渉の国内条件整備といえる。そんなことおくびにも出さないで、やるのだからやり方もきたない。
ところで、TPPといえば、農業問題と思う人も多いようだが、医療分野でもかねてよりアメリカから様ざまな要求が出されており、おそらく次に来るのが、病院経営への株式会社参入だろう。
薬を誰もが買えるようにして、病院に行けば医療費自己負担がかかり、重篤な病気は保険外診療でお金のない人は病気になれない時代が来る。さらに、株式会社参入で、経営主義の病院では、きっと貧乏人は、今でも差額ベッド代で困っているのに、入院もできなくなるということだろう。
もう一つが、労務政策の転換で「多様な正社員」という名の限定正社員で、首切り自由、ただ働き自由の拡大をやろうとしている。このことには思うことが多いが、長くなるのでもう触れない。
ともかく、数値目標が「国民総所得(GNI)で、今より150万円増やすというのが、味噌。これはかつて池田内閣時代に所得倍増計画というのがあったが、あれは実際の国民が手にする所得を倍にするといったのだ。
安倍内閣のは、企業の海外での儲けを国内総生産GDP)に加えたものであるだけなのだ、国民の懐にはいるものではない。仮に産業の空洞化で国内雇用が減って、海外での儲けが増えても目標できるし、そんなことを考えている人なのだ。記者クラブでの会見で安倍首相本人も間違えて説明してしまった。慌てて官房長官が釈明するという一幕もあった。(なぜマスコミはその事にもっと突っ込みを入れないのか。不思議だ)
安倍内閣もやはり、黒幕たちが作ったレールに乗せられているのだろう。本人はえらそうにしているが、実は、そんなところが本質かも知れない。