明日にも国会で消費税増税の議決が行われるという。メディアはこぞって民主党内紛だけを大きく取り上げている。小沢が好きか嫌いか別にして、今、そんな事だけ報道してていいのか、という問題だ。不況が続く日本で、大増税で、いったいこの国の経済はどうなるのか、国民生活はどうなるのか、三党合意も消費税増税では一致しているものの、社会保障や税制では玉虫色で何も明確になっていない。それどころか、「社会保障改革推進法案」なるものは合意したというが、これは、医療・介護・生活保護などなどを「自助」と「自立」とほ基本に各分野の改悪を進めていこうという法案だ。為政者が、「自助」「自立」というのはいつの時代でも、その分野を締め付けていく時のおきまりの文句だ。
消費税が現行の倍の10%へと増税していけば、当然、消費は低迷する。消費税は、所得の低い階層ほど負担率は高いという、税の「逆進性」を促進するものでそれ自体許せないのですが(当初、話題だった低所得者対策も三党合意では消えた)、最終消費者の問題だけでなく、生産者や流通・小売りなどすべての事業活動にも大きな打撃となる。青息吐息の中小企業には致命傷となる可能性もある。
深刻なのは、意外と実態が知らされていないのが、医療や介護事業だ。以前、控除対象外消費税の話を書いたが、そこにも関係します。医療や介護は消費税法によって、「非課税」とされている。この話を、「当然だ」という人も居るし、今後も非課税にして欲しいと要望する人までいる。このことが医療や介護事業を苦しいものにしているのです。なぜなら、医療介護が非課税というのが、その売上が非課税ということで、最終消費者は消費税を負担しなくていいという意味です。ところが、医療や介護事業であっても、消費税課税売上はあります。自費患者や自費の医療、様々な健康診断、介護保険に関わる主治医意見書や自治体から依頼されての訪問調査なども課税売上となります。そこで、消費税の納税が発生するのですが、小さな診療所や生協病院などでは、消費税開始の時から、金額を変えず、つまり消費税負担を利用者・患者にさんに転嫁出来ないで来たところも多くあります。その上に、もっとも大事なポイントが、課税売上割合が、きわめて僅少(法では95%未満の事業者)なので、売上消費税から控除できる支払消費税がごくわずかで、結局、「控除対象外消費税」といわれる支払った消費税をそのまま負担しなくてななりません。通常の事業・商売の場合課税売上割合が通常95%以上あるので、預かった売上消費税(仮受消費税・預かり消費税)から支払った仮払消費税を控除して差額を納付することになります。仮受消費税より仮払消費税が多くなるような設備投資など行った時には、消費税の還付を受けられます。
上記述べたように医療や介護など非課税事業をメインにしている事業は、消費税大増税は、そのまま日本の医療や介護(それでなくてもここのところ診療報酬や介護報酬は改悪され、介護の担い手が確保出来ない状況を産んでいる)事業の行く先は、ますます暗くなってきます。だから、心ある会計士や税理士は、従来も医療や介護を消費税法上の課税事業として、その上で税率をゼロとすることで(支払った消費税をそのまま納付すべき消費税から控除でき、控除対象外消費税が大きく低減もしくは還付になるので)、始めて医療や介護の救済が出来ることを主張してきました。
そんなことも含めてほとんど議論なしのまま、民主党の内紛と政局という側面だけの国会とメディアのありようは、目つぶしのようなもので断じて許せないのです。