第六話
「怪獣の探しもの」(猛突怪獣ゲドラゴ 登場)
前回のオオヘビヌシノミコトに引き続いて、怪獣を倒すところにカタルシスを持ってこない話。猛突怪獣ゲドラゴは、そのビジュアル的にも、まあ絶対に倒されずに沈静されて完! な怪獣なんだろうなと分かるし、実際にそうなる。冒頭、いきなりメスの死骸がででーーんと横たわっている画は中々で、そこでサンプル採集しているアユ姉からドラマが始まる。ソラトやコウセイとの合流も端的かつ自然。この世界で怪獣がどういう位置づけなのかがハッキリ定まっていない中で、オスのゲドラゴ出現に対して、どこまでも生物化学的にというか、その目的や事情を知ろうとするスタンスで成り行きを見守るアユ姉。「怪獣」と「世界」との橋渡し的ポジションで、今後ドラマが進展していくほどに、重要キャラになっていくのではと期待が高まる。結果的には、ウルトラマンコスモスの「動け、怪獣!」のような話で、オメガとレキネスの共闘により地中の巣穴に戻ってはいったものの、片方(メス)は既に死んでいるわけで……オスがあんなに必死になって探し求めたのに、そのメスの死骸を地中に運んでいくというのも……地中でメスが死んでいるということが分かったら、オスさんはどうするのでしょうか。ここは、コスモスの方が、ウェットに過ぎるとしても「優しい」解決に導いていたような気がします。太陽の下では仮死状態なだけで、地中に入ったら蘇生して、あとは仲良く暮らしている――でも、別にドラマに支障はなかったし、そうしたポジティブな結果が、アユ姉が「怪獣のことをもっと知りたい」と思うモチベーションにもつながってくると思うのだけれど。
ともあれ、オメガと敵対する怪獣で、新規造詣の連続は本作で一端終了。今回もユニークな奴が多かった。個人的なお気に入りは、
3位 ペグノス
2位 グライム
1位 テリジラス
です。
第七話
「カゼになる」(古代怪獣ゴモラ・メテオカイジュウトライガロン 登場)
カゼのように駆けるトライガロン=コウセイと、カゼを引くソラト。二人それぞれの事情を加味したタイトルがニクイ。ここから往年の人気怪獣が登場してくる。その筆頭がゴモラっていうのも、またニクイ。ウルトラマンZでもそうだったけど、ゴモラが出てくる回って、面白いのが多いよ。今回は、カゼをひいてダウンしちゃったソラトのかわりに、飛来物体の確保に向かうコウセイと、御粥を作ってくれるアユ姉。3人の関係性が好ましい。怪獣についての知識がほぼ皆無な世界だから、飛んできた赤い物体をゴモラと勘違いして話が進む(ゴモラは基本的に地球産の怪獣なので)のも面白いと思った。ゴモラとの戦闘では、古参怪獣の強さを見せつける展開で、とにかく肉弾戦で圧していくのが、さすがゴモラと言った感じ。超獣のように棘やら武器やら搭載しているわけではないのに、フィジカルだけでここまで魅せてくれるゴモラは、本当に戦い映えする怪獣で、長らく人気を不動のものとしているのも分かるなあ。そこに登場する、メテオカイジュウのトライガロン。レキネスとは違い、基本的にはメカニックな姿ながら、首回りに毛を生やしていたりと、不思議なバランスの怪獣。強力には速さで体高! なのかは知らんけど、ちゃんと怪獣形態でのトライガロン(四足)と、ゴモラ(二足)の戦いが表現されていたのは見ごたえがあった。これらの面白要素に比べると、人間側の悪役? は、ジェネリックヒルカワみたいで、どうにも薄味。これがメビウスの世界だったら、あんな追及じゃ済まんよ。悪い奴と言うよりは、単なる物語内のノイズでしかなく、ぽっと出の悪役で次回以降に続きそうにないキャラ造形で、そこは勿体なかったかな。
第八話
「霧降山の伝説」(破壊獣モンスアーガー 登場)
ウルトラQのアンバランス・ゾーン的な不思議と、日本民俗学的不思議とが絶妙にコラボレーションした舞台が魅力な一作。こういう話に絶対出てくる『太平風土記』――! オーブのSSPをイメージしたであろう、科学オタク全開の三人、ゴーストライダーズが今回のゲストで、異常なテンションと、才能は確かなんだけど無責任さがノイズな、ハッキリ言って狂人(笑)。霧降山の伝説をめぐる冒頭はちょっと和風怪奇テイストがあって不気味なんだけど、ゴーストライダーズの皆さんが出てきてからはやたらとテンションが高い笑いに猪突猛進。やたらと迎合するソラトも面白かったけど、まさか真っ先に巻き込まれるのがアユ姉とはね。やばい! ってなってから、事態収束をソラトとコウセイに押し付けるところぐらいで、三人はだいぶ嫌いになった。好きなことに一生懸命なところが――とか、後でコウセイがフォロー入れたくらいじゃ納得できない。この辺、オーブのSSPはあんまり役に立ってなかったけど、第三者を巻き込むようなことはしなかったぞ。オメガとモンスアーガーの戦いも今までにないくらいコミカルなもので、事情をよく分かっていないゴーストライダーズがあちこちに時空の穴を空けるもんだから、モンスアーガーやトライガロンが巻き込まれまくってエライことに……。今回はアーマー状態のトライガロン初お目見えのはずなのに、あたふたしてるオメガしか印象に残らねえ(笑)。面白い回ではあったんだけど、肝心のモンスアーガー、そこまで悪い奴には思えなかったから、再度封印とかで良かったんじゃないかねえ。あと、どうやらオメガのだいぶ「昔」とかかわりがありそうな要素が出てましたが、今後の展開に活きていくんでしょうか。
第九話
「カネナリ怪獣パーク」(深海怪獣グビラ 登場)
また面倒くさい人が登場……。怪獣を管理飼育して、怪獣パークを作ろうとしている社長が登場。そもそもの初めっから裏がありそうな社長で、タイトルから察して、まあ大体こういう展開になるんだろうなと思っていたら本当にその展開になった。オメガの世界で「怪獣保護」を最初に提唱するんだったら、それはもう少しちゃんとした理由や信条でやって欲しかったなあと思う。怪獣保護はタテマエで、実際はお金儲け。金こそすべてと言うイヤ~な社長に対してソラトが、それで何が楽しいのかと純粋に疑問をぶつける。浮世離れが抜けないオメガだからこそ敢えて突けるテーマですね。ただ、これまでと違って、最後には金よりも大切なものに気付く展開になっていて、イヤミな奴で終わらないようにはなっていた。今回はグビラの生態の片鱗がうかがえ、餌をとる前に活動を停止する習性があるんだと。ウルトラマンの怪獣の中でも、けっこう生物感の強いグビラだからこそ、こうした習性が分かるのは楽しいですね。最終的には、貧しくても友達と一緒ならOK! みたいな結末に落ち着くんだろうが、個人的にそれはちょっと……。特に不景気のご時世では、貧富はもう少し丁寧に扱うべきテーマだったんじゃないかなあ。最後に一本しかないバナナを分け合って食べる二人の姿を見ていると……ちょっとね。
第十話
「密着! 二人の素顔」(熔鉄怪獣デマーガ 登場)
アユ姉の仲介で二人の密着取材を行うことになった若きジャーナリスト、新川マキ。彼女の密着のせいで思うように行動できず、怪獣を取り逃がして不和となるソラトとコウセイ。これが、そこまで深刻にならずに展開する。テンポとテンションが軽妙で心地よい。マイペースなソラトと、血気盛んなコウセイ、よく衝突する二人だけど、個人的にはこの衝突が一番しっくり来た。最悪バレても良いって思っているからやりたいようにやろうとするソラトと、バレた後のことを危惧して止めざるを得ないコウセイ、二人の温度差が凄く面白いし、第三者がいるから思うように動けない中で、それが悪い方向に働いてしまう今回の衝突は、とてもしっくり来た。ただ、窮したからと言ってマキ姉に先に正体を明かそうとするのはさすがにちょっと……。そこはさすがにアユ姉に筋を通すべきだし、ぽっと出のキャラに正体を明かす展開を持ってくるなら、ソラトなりコウセイなりが、本当にマキ姉を信頼するパートを持ってこないと。時間的蓄積がない中では危う過ぎる選択だし、そこにコウセイが反対しないのはおかしいでしょう。最終的に正体明かしにはならなかったけど、アユ姉推しとしてはちょっと腑に落ちないなあと。今回の怪獣デマーガは、ニュージェネ怪獣の中で、昭和のゴモラや平成のゴルザと同じで、クラシック化した怪獣だと思っていて、その強さの描写含めてもの凄く大切にされている怪獣。僕も大好きです。どのウルトラマンに登場しても強さがフィーチャーされ、今回もとにかく強い! 戦闘の中で危ういところを救われたマキ姉がオメガ推しになり、密着は終了! 正体ばれもなかった! な展開は、まあ予定調和ではあったし、だったら途中の正体を打ち明ける云々はどうでも良かった気はするが、最後に3人でクッキーをつまむ一幕が微笑ましかったので、OKとしたい。