ムービーモンスターシリーズにおいて、ガメラはゴジラほどたくさんの怪獣が出ているわけではない。
一番勢いがあったのは、ネトフリでアニメの『Rebirth』が配信され出した頃に、色んなガメラ怪獣が登場しましたが、それ以降は、定期的に平成ガメラシリーズの怪獣が補充されていった感じで、ゴジラほど爆発的な盛り上がりとは感じられません。一方で、平成ガメラのムビモンはどれも壮絶なクオリティで、特にガメラⅡは全ムビモンシリーズの中でもトップクラスのクオリティで、もっともっと、発展していってほしいなと思っています。
今回はそんな中で、ガメラ衝撃のデビュー作『大怪獣ガメラ』より、ガメラ1964版の紹介です。
この映画は観てます。当時は既にカラー主流だったのに、モノクロでね。聞くところによると、東宝のゴジラに負けまいと大映を怪獣企画を立ち上げたは良いけど、当時のスタッフに怪獣のノウハウなどなく、取り敢えず作るにしてもカラーは辞めろ! ということになって、モノクロとなったらしい。彩度をなくして明度だけで表現された世界の中、ガメラが火を吐く瞬間の迫力や暴力的な映像のざらつきが凄く良かったのを覚えているので、この作品はモノクロで良かったと思う。
正面から。
こいつが所謂「初ガメ」になるわけですが、「初ゴジ」に比べると、端っから怖さは殆ど意識されていないんだなと思われます。造形的にもずんぐりだし、体表もより生物的。
ただ、『大怪獣ガメラ』の時は、後年ほど子どもたちのヒーロー的存在でもなかったし、一応は人間社会を脅かす側ではあったので、頭部などは渋めに作られています。
横から。
思ったよりも首が長いのが、本物の亀っぽいし、カッコいいところ。
ガメラはその構造上、平たく見えてしまってカッコよくない時があるのですが、このガメラ1965は、全体が大振な分、ボリュームを感じさせて、「持ち応え」がありますね。
背中が重そうで、手を前に出してバランスを取っているかのようなポーズになる。
脚が細く、足幅も狭いので、角度しだいではすぐに転んでしまう。頭がぬっと前にせり出しているからですね。
背中。
木の葉が重なり合ったような造形がとても美しい。
ガメラは昭和と平成で、甲羅の造形が全然違う。平成版は、後ろから見ると葉っぱで作った蓑を纏っているようにも見えます。
皺の目立つ四肢、ハンバーグみたいな切れ込みの入った胴体。
それぞれの部分の「繋目」も、違和感なく処理されていますね。
頭部のアップ。
ムムツ、渋い。カッコいい!
モノクロということもあってか、ガメラ自体に彩度はそれほどないのですが、ここの口の赤と目の金が鮮やかです。
特に目の金が、とても美しい。
こうして見ると、ガメラの頭部も面白い怪獣デザインですよねえ。
確かに亀なんだろうけど……一般的な亀の頭部よりは楔型。そして一対の大きな牙が下顎から生えている。
目の周囲の彫りこみが深く、老獪な印象さえ与えます。
ガメラってそこまで頭が良い感じはしないんですが、このソフビのガメラは目つきも鋭いし、頭部だけで見れば頭良さそうですね。
口の中がしっかり空けられていて、牙一本一本も造形。
これは平成ガメラでも大体そうなんですが、やっぱり左右一対の牙がカッコいいよね。
さて、可動ですが、四肢と尻尾。
甲羅からきょきっと生えている構造なので、ゴジラ以上に自由度はないと思います。
精々、腕を振り回すくらいじゃないかなあ。
脚も斜めにロールする感じなので、
無理に角度を付けてもコミカルなポーズになる。
これは中々に難しいですね。
むしろ、エフェクトの流用で遊んでみると映えるアイテムかも。
まずは、お得意の火炎。
アーツのガメラⅡより拝借。
こういう豪快な火炎を、ぶおっと吐き出している印象。
ゴジラの熱線とは違うところですね。同じ初代で言うと、ゴジラの熱線は吹きかけられたら爆発。ガメラの火炎は、吐き出し瞬間から豪快。そういうところで差別化されていた。
北極で目覚めるガメラ。
映画本編、けっこうびっくりする冒頭なんですよ。
北極に調査に来た一団が、上空を飛ぶ国際不明機に遭遇。やがてアメリカ軍がそれを撃墜するも、その国際不明機が核弾頭を積んでいたせいで大爆発を起こし、氷の下で眠っていたガメラをよみがえらせてしまった――ってな流れで。しかも、その展開が速い速い。
街中を歩くガメラ。
レトロな怪獣なので、レトロな街並みが合います。
初代同士の対決。
似たような色だな(笑)。
ゴジラとキングコングという東西怪獣対決は1962年。その3年後にガメラが生まれ、今年で60周年となったわけで。にも拘わらず、ゴジラとガメラが激突する作品は、ファンの妄想の中でしか作られていない。そろそろ企画しても良いんじゃないかしら。
コンビナートを襲うガメラ。
ガメラは熱エネルギーを求めて侵攻するので、こうした施設の只中に置いた方が映えるかも知れませんね。
折角なんで、モロクロでも。
陰影が映える。
特に目の周りに宿る影が渋いです。
同じ大映ムビモンから、大魔神と。
舞台を戦国時代に移せば、こうしたコラボも可能かと。
どちらも大映の人気選手なので、いきなり東宝とバトルするよりは、こっちの方が現実的かもね。
さて、ガメラにはアトランティス大陸出身という設定もあるわけで、
同じ超文明感のある怪獣であっても、全然違う印象を持つゲバルガと。
ブレーザーの怪獣の一分って、ガメラの怪獣に近いものを感じます。特にこのゲバルガのように、身体各部の構造が極端な主張をしているところなんかは特に。
エディオンで大安売りになっていたので、2000円以内で購入できた初代ガメラ。
昔、硬質ソフビの方で同じ時代のガメラを持っていましたが、それよりも尖り具合はマイルドに、しかし皺などの造形は深く作られているように感じます。頭部の渋さがお気に入りです。
今年はガメラ60周年だというのに、思ったほどの盛り上がりがありませんねえ。精々、『Rebirth』がNHKで放送されたくらいで。ムビモンも極めて大人しく、勿体ないです。せっかくの60周年なんだから、昭和ガメラ怪獣一挙登場! ということで、数年前に東宝怪獣を一挙出しした時のように、バラゴン、バイラス、ジグラ、ジャイガー、そしてギロンをムビモン化してほしい。他の怪獣アイテムに比べると、お手軽なソフビが店頭に並ぶことで、昭和ガメラの面白さに気付けるきっかけにもなると思うから、この1965年版ガメラと闘わせられる怪獣たちを、ギャオスだけでなく、もっともっと増やしてほしいなと思っています。