旧規格のウルトラ怪獣シリーズを塗り直し、時には改造してリニューアルする「塗るトラ怪獣」。
7月くらいに作った「牛鬼怪獣ゲロンガ」と全く同時期に買っておきながら、改造・色彩までに滅茶苦茶時間がかかった。
それだけに、けっこう気に入ったものができました。『帰ってきたウルトラマン』に登場した巨大魚怪獣・ムルチを作りました。
いやぁ、長かった……。
でも、時間かけただけあって、けっこうそれらしいものができている気がする。
正面から。
ムルチは、プレバン限定とかで出た「ウルトラ大怪獣シリーズ5000」ではソフビ化されている。それを買い逃していて、ずっと悔しい思いをしておりました。今回、だったら自分で作ってみようということで、ある旧規格怪獣ソフビを素体に、パテ盛パテ盛を繰り返して、納得いくものを作りました。
横から。
僕が描く絵はどれも頭でっかちになってしまうんですが、ムルチは元から頭が相当デカいんですよね。だから、これくらいのバランスで良いんじゃないかと自画自賛。口吻は始めはもう少し長くて、若干カットして今の長さにしています。
背鰭、肘の鰭、頭部の鰭と角など、目に映る突起物は全て新造。
この頭部が中々に曲者でね……けっこう苦労しました。
背中。
盛り方は若干粗めなところがありますが、実は本編に登場したムルチ自体が、けっこう造形粗目なんですよね。デザインは神なんだけど、着ぐるみの作り自体は、特に顔から下のざらつきが凄いというか。
なのでゲロンガのように奇麗に整った着ぐるみというよりは、「作った感」が出ている方が良かろうというので、ちょっと雑に盛っているところもあります。
首筋の膨らみの並びとか、胸部の凹凸、下腹部の膨らみなんかも写真を見ながら作っていきました。
今まで作った中でも、一番か二番くらいで気に入ってます。
顔のアップ。
ここが本当に時間がかかってね……。
鰓みたいな所の造形とかは、ちょっと違ってるかも。そこは力量の限界です。
細部は違えども、一見して「ムルチだ」と分かる顔を目指しました。どうでしょう? ムルチに見えますかね。
ムルチは顔が本当に独特でカッコいいんですよね。
彩色は非常にシンプルですが、目を塗るのが難しかった。瞳がなく、鬼灯のように赤い目。これが凄く強烈なアクセントになっている。
顔だけで一週間くらい試行錯誤したかなあ。
今回使ったパテが速乾ではなかったので、作ったモノが自重で垂れてこないように固定することに一番気を使いましたね。
口の中も、できるだけ頑張ってみた。
口の中に歯が無数に並んでいるムルチ。
さすがに塗分けはできていないのですが、歯並び自体は彫っています。
さて、ここで問題。
今回、素体にしたソフビは何でしょう。
ヒントは全体のシルエット。特に足の付き方と、鰭のように重なり合っている造形に埋もれた、この手。
そうです。『ウルトラセブン』に登場した、宇宙怪獣エレキングですね。
元と比べると、こんな感じ。
基本シルエットは、頭部を新造したことによってだいぶ変わって見える。
下半身の、ずんぐり感なんかはけっこうエレキングの面影が残っていますね。
さて可動ですが、エレキングの四肢可動については残しています。
つまり両手、両膝の部分で可動がある。
エレキングそのものがあんまり可動しませんからね。
このムルチもあんまり動きません。
ウルトラマンのアクションフィギュアと組わせて、映えるソフビかもしれない。
両手をあげて、雄たけび。
腕を振り上げると、エレキングの名残がけっこう目立つ(笑)
ジオラマの中に置いてみましょう。
ウルトラマンと比較。
大きさ的には、アーツでちょうど良いくらいかな。
ウルトラマンとの死闘は、雨降る工場とその近くの街で展開。
ムルチが登場した第33話『怪獣使いと少年』は、一度観たら絶対に忘れられない、必ず心に何かしらの陰を刻む名作。
『帰ってきたウルトラマン』全51話の中で恐らくは唯一、ウルトラマン=郷秀樹が人間の「業」を目の当たりにして、人を見捨てることを考え、それが未遂に終わる話。それゆえか、戦いも非常に投げやりかつ乱暴なもので、しかもその様子を長回しでカメラが凄いところまでずっとパンしていく。日本特撮史上でも素晴らしいシーンだと思うので、ぜひ見てみてほしいです。
造詣で数か月。彩色はたったの一日。
作るまでに相当時間がかかってしまったけど、満足なものができたと思っています。