ウルトラマンアーク第3話 ざっくり感想 | 怪獣玩具に魅せられて

怪獣玩具に魅せられて

ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン、その他たくさんの特撮怪獣玩具を紹介します。

第3話「想像力を解き放て!」

 

 

第1話が世界観の紹介。

第2話がSKIPの面々の描写(特に石堂さんの描写)

そしてこの第3話で、ウルトラマンと主人公との関係が描かれる。

 

 

・人間スタイルの怪獣を上手く使った「のっそり感」

 宇宙獣モノゲロス、ディゲロス登場。特にゼットンを意識したディゲロスが街中に佇んでいる画は、やっぱり良かったですね。ウルトラマンアークは、怪獣を見せる画角や、カットごとの画にすごく拘っている気がする。特に今回は、市街地のど真ん中に怪獣が現れて、ゆっくりゆっくり進行していく様子を、色んな画角から見せていて、これが見ごたえありました。寄りの画観ても、引きから円弧状に(あっ! まさか、こっちもアーク!!??)光線を撃つ画も様になっていたし、戦車隊が歩道橋下をくぐって進軍していくカットのダイナミックさと、どことなく感じる手作り感。これまた良い! さらには疑似主観視点で怪獣への攻撃を見せる(それも中々な長回し)など、アークは怪獣が出てからに見どころ満載で、毎回毎回の「怪獣が日常に浸食していくビジュアル」がとっても楽しみです。

 

・「想像力」に帰着する、クリエイティブな戦い方。

 今回の戦闘シーンも見ごたえありました。これまで以上に人型の怪獣との対決だから、格闘で魅せるかと思いきや、バリヤーで防ぎながらの光弾の打ち合いから、またまた物理的に割れるバリアー、アオリ視点からぐるりとカメラを回しての肉弾戦など、次から次へと面白い要素を入れてくる。さらに今回は、「ウルトラマンと怪獣の初対戦」を市井がどのように見ていたかを示す「何か越しの戦闘」がいくつもインサートされていて、これがすっごくリアルなんですよ。スマホで撮っている時の、手振れている感じとか。しかもそのブレが単なる手振れではなく、ウルトラマンと怪獣との激闘による地響きと連動しているなど、とかく演出が細かい。ニュース画面とかは今までもあって、一つのお得意となった表現かもしれませんね。車のドライブレコーダーに地面にぶっ倒れて攻撃を食らっているらしきアークの頭部だけが写っているとか、屋上の監視カメラ? の映像であったりとか、バラエティな画角と映像再生方法を駆使し、しかもそれが単なる「面白い画角」というだけじゃなく、最後に巨大モニターが建物ごと破壊されることで、アークの苦戦を描くなど、奇抜なことをするだけの必然がちゃんと考えられていて、本当に特撮って、円熟の先にさらなるアイデアが沸き立つ、無限の可能性の泉みたいなもんなんだなって、ほとほと感心させられました。

 今回の想像力=アークトリッキーテクニックは、光線の鞭化。ガイアのフォトンエッジを思わせるしなり方だったけれど、腕から発射する基本光線でここまでぐにゃぐにゃ曲がるのはなかったと思う。ただ、過去2話に比べると、ちょっと大人しめな想像力だったかもね。第1話のバリアーって割れるの!? から、ガラス片のようになったバリアーを刺したー!! ってか、この戦いずっと長回しで演出されてらっしゃるー!!! っていう二重三重の驚きや、第2話の、ウルトラスラッシュって便利だなおい! みたいな驚きがね、やっぱり楽しいですよね。ユウマ君の今後の想像力の研鑽に期待したい。

 作品に通底するテーマである想像力は、作り手たちの創意工夫の熱意をも示していると思われます。毎回毎回、これまでの特撮表現の一歩先を見せようと、想像力と創造力の限界を超えて挑戦している。それが分かるからこそ、このウルトラマンアークには、楽しさと同時に何かを作ることや挑戦することへの熱意もまた伝わってくる。そこにグッと来てしまいます。

 

 

・ニュージェネとは別方向での、過去への目くばせ。

 一つ前のブレーザーが、それ単体で成立する、ニュージェネの中では異色作だったのに対し、アークは過去へのウルトラシリーズの目くばせが多い作品です。ただ、ブレーザー以前のニュージェネがやっていたような過去ウルトラマンの直接的客演とか世界観の直結とかは今のところなく、細かいところでのオマージュが面白い。アークの作風全体が昭和第二期、特に帰ってきたウルトラマンとウルトラマンタロウを意識したものであることは前にも述べましたが、今回はユウマとアークの初対面に置いて鏡面世界が使われている。これとか、キラキラしていて見えづらいアークとか、ミラーマンっぽいなー! と思ったり。あるいは、ウルトラセブンの「プロジェクト・ブルー」でも、バド星人に連れ去られた人を救うために鏡の中に入って行きましたよね。ウルトラセブンで言うと、主人公がいかにしてウルトラマンになったか(セブンの場合には逆で、セブンがいかにしてモロボシ・ダンとなったか)を紹介する話が、トップではなく数話を経た後であるというところも近しいものを感じる。ディゲロスはもちろんゼットンオマージュだけれど、アークを圧倒して余裕のていであるところなんかはバルタン星人を髣髴とさせる。両肩の突起は珊瑚のようで、これはミサイル超獣ベロクロンと同じ。そこから無数の光弾を発射する所なんかも共通していますね。こんな感じで、過去との繋がりが、明確な形で分かるんじゃなくて、観れば観るほど、「ここも、もしや……?」と気付けることができる。つまり、見ている側も想像力を働かせて、作り手の意図を考えるのが楽しいシリーズに、今後なっていったら、より素敵だなと思った次第です。

 

 

第3話のざっくり感想でした。

放送日の土曜日以降、本当に忙しくて中々感想があげられず、第4話の放送間近になってようやく書けました。次は、やはり新マンのロボネズを思わせるような、ネズミ型怪獣。いやいや、もしかしたらロボネズではなく、かつて大映が企画し、空前絶後の大失敗に終わった「大群獣ネズラ」を意識したものかも知れぬ。もしそうだったら……ここに一名、神回と泣いて崇め奉る残念な者がおります。