悔しいかな、リアルタイム視聴にはなりませんでした、ブレーザー第5話。第4話から始まった、各隊員の深堀回。今回は生真面目? フィジカルキャラのアンリ隊員。いわゆる地元伝説怪獣をめぐるハプニングを通じて、彼女のキャラクターがより描きこまれることになります。
ということで、第5話の見どころを。
①昭和ウルトラ怪獣の良いところ取り? のような、山怪獣ドルゴ。
ブレーザーの世界での怪獣がどんな扱いなのか、未だよく分からないところが多い中で、新たな設定の怪獣が登場。今回のドルゴは伝説怪獣であり、スカイドンのような呑気さを持つ怪獣でもあり、トンでもない兵器を背中にしょっている辺り、レッドキング二代目やラゴン、虫歯怪獣シェルターのような厄介さを持つ怪獣でもある。兵器部分は別として、昭和ウルトラ怪獣のコミカル回に出てきそうな怪獣で、可愛いというか癒されるというか……。前回のレヴィーラが相応に気持ち悪かったので、それとはまた違ったテイストの怪獣が出てきてくれて嬉しい。デザインも面白くて、トラバサミんも似たU字リングとか、どことなく遺跡感が漂っているのがポイント高い。
これまでの怪獣が倒されるべき敵であったのに対して、ドルゴはあくまでも鎮められるべき荒神的な扱いなのも良く、目覚めて最初にやることが二度寝であるなど、ウルトラマンの人気回「空の贈り物」を思い出させる展開なのにはニヤリ。鼻提灯膨らませるドルゴ、とっても可愛かったです。
②四足歩行を枷に感じさせない格闘シーン。
四足怪獣は、格闘アクションにおいては二足歩行よりも制限が多い。特にドルゴのように図体がデカく重そうな怪獣なら猶更なんだけど、今回はそういった制限を感じさせないダイナミックなアクションが楽しめる。巨体を活かした突進撃はもちろんのこと、鼻から光線を発射するし、背中に乗っかったまんまのメガショットも相当な脅威。こうした色んな「武器」を駆使して、一辺倒にならない戦いになっている。特にメガショットを乗っけているというところが上手く、実際今回の戦いは、対ドルゴというよりも、メガショットをいかに攻略するかという話になっていて、アースガロンとの共闘も、まさかのスパイラルバレード真っ二つ折りも、いずれもメガショットに対してなされた攻撃。これによって、ドルゴ自体をそこまで傷つけずに、鎮めるという展開に無理なく持っていっている。こういうところ含めて、怪獣格闘については、今までの5話の中でもかなり独特なものに仕上がっていると思う。
③民話と科学の中間を行く設定
いわゆる伝説怪獣としての性格を持つドルゴだけど、それへの対応は極めて科学的で、そこが面白いところ。休眠状態だから生物反応がなかったという説明や、目覚めた瞬間に水を飲んで二度寝することの理由への説明など、ああなるほどと思わせるものが多い。ドルゴを眠らせるためにご神体を突きさすというのも、オカルト的に封印するというよりは、脳幹の睡眠を司る部分を刺激して眠らせるという、生物的な裏付けがしっかり取れていて、相応の説得力がある。ここで光るのが、テルアキ副隊長。てか、今回はアンリ主人公回でありながら、テルアキのキャラも少し深堀されていて、テルアキ推しとしては嬉しい(笑)。実家が農家だってことが分かったり、ドルゴの生物的情報や考察を一手に引き受けているところがあったりとか。こういう何気ないやり取りとか、どの情報を誰が説明するかで、個人がしっかり色分けされている。ブレーザーは、こういう「人の配置」や情報の出し方が、すごく上手いと思う。
ということで、個人的には、山怪獣ドルゴの魅力いっぱいな回で、楽しく観れました。ただ、不満に思うところがゼロではなくて、まずアンリ隊員の掘り下げ回としては物足りなかったかなと。最初、地元の話になってちょっと嫌そうな感じを出していたけれど、彼女が故郷に対して何かしら複雑な思いがあるなら、それをドラマの中で描いてほしかった。そうじゃなくて、単に故郷の良さを語ることが理解できないキャラだとしたら、それをああいう形で表に出すのはちょっと……。アンリのキャラは生真面目で、表立った自己主張を控えるタイプ。だからこそ時に感情が読めないことがあるので、そこはもう少し演出が手綱を引いておくべきだったと思う。
一方で、これまでのウルトラシリーズにありがちな、誰かを極端な悪役として糾弾する話とか、『大怪獣バラン』みたいな、信じていた人たちの気持ちが完全に無下にされるような展開はなく、誰の責任という話にもならない一方で課題を見据えて前に進むストーリーとなっているのは見事。ここで、コスモスの「禁断の兵器」のように、自分たちが作った兵器による窮地というところが強調される展開に幾らでもすることができたのに、そうしなかったのは、敢えて浅薄な悪役を登場させた第4話との差別化をはかったのかも知れない。開発部の皆さんとSKaRDの関係も良さそうで、今後こういう人の繋がりが大いなる脅威を打破する展開にも期待が持てた。
一回総集編を挟んで(これも単なる総集編ではなく、市井の人の目線からドラマを追い直すという設定。すごく上手い)、次はヤスノブの物語。しかも登場するのはカナン星人! ブレーザーで初めて登場するリバイバル宇宙人・怪獣がカナン星人って……渋い(笑)