ウルトラマン第13話「オイルSOS」に登場した油獣ペスター。油獣って、すごいネーミングですね。
ソフビは2002と刻印されているもので、2000年代に一時ペスターはシリーズのレギュラーだったそうです。ウルトラマンの怪獣の中でも非常にユニークな姿をしているということで、大切にされてきたキャラクターなのでしょう。
正面から。
着ぐるみの構造がよくわかる。
2人が手を繋いで、その間に顔がある。
ヒトデ×2とコウモリの頭という、そしてそれを当たり前のように組み合わせて、火を吐く油獣に仕上げるという……なんというセンス。唯一無二の存在ですね。
斜めから。
平べったいかと思いきや、けっこう骨太というか、厚みがあります。ぼてっとした足回りなど、着ぐるみらしさも全開でとても宜しい。
なだらかなカーブを描くシルエットが美しく、架空の存在のはずが不思議な実在感をびんびんに感じるデザインと造形ですね。
中の人のお手手が見えるこのアンバランスさも素晴らしい。
体や顔は完全に人からもオーソドックスな動物からも乖離しているのに、手だけが人間のそれのように五本指かつ妙にリアル。そのミスマッチがグロテスクにも、造形的な面白さにも感じられます。
背中。
ブラック状? のディテールが凄い。きめ細かいですね。
顔の裏側あたりで、なだらかな弧を描いているなど、全体の流れが本当に自然で美しい。
顔のアップ。
小さいながら、凄まじい作り込み。
本物そっくり。
塗り分けも丁寧で、ムラがない。
ディテールの一つ一つが自然で無理がない。
それが生物感的説得力に繋がっていると思います。
不思議なもんで、じっくり眺めていると可愛く見えてくるもんですよ。
体表のディテールが興味深知ですね。
規則性のある「筋」が全身を走っている。
こうしてみると、『宇宙人東京にあらわる』のパイラ星人が手を繋いでいるように見えてきます。パイラ星人はあの見た目で、地球に危機が迫っていることを伝えに来てくれた道徳的な宇宙人ですよ。
可動ですが1箇所。
顔(笑)
まぁこのデザインだとソフビでの可動などほとんど望めまいことは分かっていましたが。
それでも、たとえ1箇所であっても動くところを入れるんだ! っていう心意気が好きです。
首はぐるんと一回転しますが、傾げれば傾げるほどアホ顔に見えてしまうのは僕だけでしょうか。
なーにー?
ウルトラマンを代表するアホの子と。
ペスターも相当のアホ顔(失礼)。でもそれがキャラクターにならず、怪獣として成立しているんだから凄い。ウルトラマンの怪獣には、ゴモラやレッドキングなどのような怪獣としてのカッコ良さを追求したデザインがある一方で、ペスターのようにカッコよさとは別のところで素晴らしく魅力的なデザインもある。怪獣の奥行きの広さは、実は初代ウルトラマンが1番持っていたのかもしれません。
ところで、このペスターのソフビなんですが、小さい。
ゴモラと並べると、こんなに対抗差がある。
ペスターって結構背が高い印象があるので、これは残念でした。
ウルトラマンと比較するとこんな感じ。
実は旧規格より、現行の500シリーズの方に近い大きさ。もう少し大きいペスターが欲しいところですが……。ただ、この小さな中で、再現度・塗り分けのクオリティが凄いのも事実なので、そこは技術力の高さを感じるところではあります。
ペスターといえば京浜工業地帯の製油所。
ジオコレを出して、周りに並べてみました。
アオリにすると、体高もそこまで気にならないかな?
巨大感があって良いですね。
建物の間から、パイプを手前にして撮ることで奥行きを狙っています。
火炎を吐くペスター。
劇中の火災シーンはとんでもなかったですね。
あちこちで爆発・爆発・爆発。黒煙と炎が渦巻いて、凄まじい画になっていました。
ウルトラマン登場!!
アーツと並べてもペスターの方が小さめ。
ソフビの体高は12cmくらい。アーツが15cm程度なので、頭ひとつ小さい感じですね。
劇中では、ウルトラマンとまともに戦う前にやららてしまいましたが、もしあの時現在なら、こんなバトルもあったかも。
火炎をウルトラバリアーで防ぐウルトラマン。
実際は、科特隊のビートルによって瀕死の重傷を負わされ、へちゃあっとしてましたよね。一回、不意打ちで火を吐いてましたが……
スペシウム光線一回でダウン。
ソフビはへちゃあっとできないので、立ったままやられております。
ペスター「いってぇ!」
この後ウルトラ水流で消化活動しないといけないウルトラマン。ペスターにばかり構っていられないのです。
中古品のレスキューですが、手に入って良かった。
旧規格ソフビの中でも、まぁまぁ値上がりしている印象があります。
背の低さが玉に瑕ですが、造形・彩色たまにトップクラス。本当にリアルな「ペスター」で、ソフビの底力を感じさせてくれます。特に顔のあたりは、これが当時700円!? と驚嘆するくらいの再現度。形が形なので動くことはないけれど、それを補って余りある魅力と完成度のアイテムに仕上がっています。