はい、かっこいい。
神戸港へ進撃するキングジョーをウルトラセブンが阻む。しかし、キングジョーはウルトラセブンを押し倒し、持ち上げた貨物船を今にも振り下ろしそう。危ない! ウルトラセブン――!!
そんな一幕です。
それが、手のひらサイズの極小ジオラマで再現されている。
何ですか、これ。
構図から造形から彩色から、何から何まで完璧じゃないですか。
ぐるりと一巡してみましょうか。
とにかく「動」に満ちています。
セブンが衝突して瓦礫が弾け飛ぶ様とか、持ち上げられた貨物船から、水が怒涛の如く落ちる様子とか。
背面。
気が遠くなるくらい、細かく作られている、貨物が崩れる様子。
背中の作りこみにも、抜かりは全くありません。
横から見ると、かなり反っているのがわかる。
ただし、これは経年劣化かもしれませんが。
この角度から眺めて初めて、セブンが倒れた先にあったのが、建物だったことがわかる。
劣化といえば、パーツが一つ紛失してるんですよね。
あのクレーンなのかよくわからないやつです。
正面から見ると、キングジョーの反りもそんなに気になりません。
やべえなあと思うのは、胸部の塗分けですね。
ここまで、こだわるかと、しかもまあ、なんとムラのないことか。
これが食玩だって、とんでもねえ時代だったんだな。
貨物船はキングジョーが掴んだ部分から折れて、後ろ部分が今にも取れ落ちそう。
流れる水をクリアで再現するなど、リッチな作りです。
船もまあ細かい造形だわ。
凄いといえば、セブンもすごいですよ。
顔がちゃんとついている上、ビームランプまで塗分けている。
プロテクターのディテールとか、本当にとんでもない。
この食玩を前にすると、やべえとかすげえとかしか出てこない。ボキャブラリーが一気に貧弱になります。
ベースの荒れ狂う波の再現も素晴らしいですよね。
この色が、海の深さを物語ります。
波打つ感じとかまで、すごく丁寧。
間違いなく、タイムスリップグリコ、否、ウルトラ食玩の傑作のひとつです。
手がけたのは海洋堂。この作りこみとこだわり、造形美と彩色美。真骨頂ですね。
かなりズームして撮ってみた。
食玩であることを忘れます。
荒れ狂う波の中、ぶつかり合う巨大ヒーローと巨大ロボット。その果てしない轟音さえ、聞こえてきそうです。