小さい中に、驚くほどの情報量が詰まってる。
正面から。
バッチのような平面に近い形状です。風景の切り取り方が、とても面白いですね。
目を引くのは、やっぱりゴモラ。
上半身、しかも右側は隠れてしまっていますが、細かいところまで塗り分けされていて、すごく丁寧です。さすがは海洋堂!
デザイン的な面白さもありますね。体に比して腕がでかい。
遠近効果を狙ったものでしょうか。城の傾きなどもあって、独特な画角の食玩です。
ゴモラの前には大阪城。
瓦や石垣のディテールなどは食玩全盛期ならではのつくり込みですね。決して単色で終わらせず、リアルな彩色が施されている。本当に偉いと思います。
細かいといえば、この「大阪蹂躙」、何が楽しいって細かい大阪テイストがしっかり入っているんです。
たとえば、
みんな大好き、グリコのマーク。
こえ嬉れしいですねえ。
通天閣とカニ道楽。
コロナ禍の現在、いろんな色にライトアップされている通天閣。
小指よりも細いのに、しっかり彫られていますね。
カニ道楽の横には、フグの「つぼらや」。惜しまれつつも最近、店じまいされましたね。
そんな、大阪の良いところばかりを集めたステージの中に立つウルトラマン。
観光しているみたいでかわいいですが、べた塗りのシルエットにせず、模様の塗り分けやカラータイマーなど、ちゃんと造形があるところは、もう讃えられるべき丁寧さですね。
本当に、タイムスリップグリコに関しては、感想が「すごい」ではなく「えらい」になってしまう。
この食玩があった時代に生まれていて、本当に幸運だったと思います。
近くで見ても、ムラがほとんど見つからない。
最近、古いソフビを塗りなおして息子にあげる(息子には新作が発売されたと言って恩を売る)ことにはまっているんですが、塗り分けって本当にむつかしい。それを--
この小ささで見事にやり遂げてしまっている。
驚くべき繊細さ。
タイムスリップグリコの中でも、切り取り方や角度なんかがアーティスティックな一品です。
手のひらに収まるほどの小さなジオラマ。そこに全てが詰まっています――。