新しく入所する利用者がやってきた。

とても静かで、どこか遠慮がちな女性だ。

サマリーには「家族も控えめ」と書かれていた。


入所初日のサ担。

女性は明らかに緊張していた。

その前に荷物の搬入で顔を合わせた家族もまた、同じように強張った表情をしていた。

——「この人たちは、不安を抱えてここに来たんだな」と思った。


「初めて」は、誰だって怖い。

それが「施設入所」となればなおさらだ。

生活の多くを誰かに委ねるというのは、簡単なことじゃない。


どんな人たちと暮らすのか。

どんな毎日になるのか。

好きなことは続けられるのか。

好きなものは食べられるのか。

——そんなことを、きっと何度も頭の中で繰り返していたのだろう。


本人と家族から希望を丁寧にヒアリングし、

他部署とすり合わせて、方向性をまとめていく。

ひと通り終えたあと、利用者に声をかけると——目に涙が浮かんでいた。


不安が増大?

いや、少しホッとしたのかもしれない。

そうであったら嬉しい。


どちらにせよ、私たちにできるのは一つ。

「知らない人」から「顔見知りの職員」に変わること。

そこから、ようやくスタートだ。





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