愛知県美術館
『クリムト 黄金の騎士をめぐる物語』(2012-13年)

風景写真 カメラ1


会期が終わる前に、なんとか間に合いました~音符

2012年はグスタフ・クリムト生誕150年&愛知県美術館開館20周年乙女のトキメキ乙女のトキメキってことで、
同美術館所蔵の《人生は戦いなり(黄金の騎士)》を中心に、
この作品にまつわる物語をひもときながら彼の画業をたどる展示になってます。
(全3章、展示総数208点。会期中に入れ替えあり)


まず、一番に控えしはこちらキラキラ


グスタフ・クリムト
《ふたりの少女と西洋夾竹桃》
キャンバスに油彩
1890-92年頃 55×128.5
ワズワース・アテネウム美術館
風景写真 レンズ1

初期の作品もステキですねピンクハート
けれども、
今回出展されるクリムトの油彩画はたったの9点。
少し、いや、かなり不満です~~タラータラー
代わりに『ヴェル・サクルム』という
ウィーン分離派の機関誌が山ほど来てますが……


◆ Ⅰ 闘いへのプレリュード―ウィーン工芸美術学校入学から分離派結成へ

グスタフ・クリムト
《横顔をみせる少女》
キャンバスに油彩 1880年頃 24×16.8
東京富士美術館
風景写真 レンズ2


グスタフ・クリムト
《森の奥》
キャンバスに油彩 1881-82年 11.7×15.6
飛騨高山美術館
風景写真 レンズ3


グスタフ・クリムト
《第1回ウィーン分離派展ポスター》(検閲前)
紙にリトグラフ 1898年
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
風景写真 レンズ4


《詩人とミューズ》(厚紙に油彩・1884年頃)もありますよ。

そして、学生時代に描いた素描、ウィーン分離派展のポスター、分離派の機関誌『ヴェル・サクルム』がずらりと並んでます。
若くして成功をおさめ、他国の芸術家たちと交流し、印象派や象徴主義の作品に触れるうちに、保守的なウィーン美術界への反発を強めたクリムト。
「闘う英雄テセウス」「戦いの女神パラス・アテナ」が描かれた《第1回ウィーン分離派展ポスター》は、彼が叩きつけた挑戦状ですね!パンチ!


◆ Ⅱ 黄金の騎士をめぐる物語―ウィーン大学大講堂の天井画にまつわるスキャンダルから「黄金の騎士」誕生へ

グスタフ・クリムト
ウィーン大学大講堂天井画《哲学》
キャンバスに油彩 1899-07年 430×300
1945年インメンドルフ城で焼失
風景写真 レンズ5


グスタフ・クリムト
ウィーン大学大講堂天井画《医学》
キャンバスに油彩 1900-07年 430×300
1945年インメンドルフ城で焼失
風景写真 レンズ6


グスタフ・クリムト
ウィーン大学大講堂天井画《法学》
キャンバスに油彩 1903-07年 430×300
1945年インメンドルフ城で焼失
風景写真 レンズ7

クリムトが依頼を受けて制作したウィーン大学大講堂の天井画《哲学》《医学》《法学》は、分離派展で作品が発表されるたびに抗議が殺到、論争が帝国議会にまで及ぶという事態にガーン
クリムトのWikipediaによると、依頼者が意図した「人間の知性の勝利を高らかに歌いあげる」というテーマに反し、理性の優越性を否定する寓意に満ちたものであるため…なんだそうな)

3点とも第二次大戦中に焼失したため、
今回は原寸大のモノクロ写真パネルを展示してます。


1902年には大作《ベートーヴェン・フリーズ》を制作(作品の一部分の原寸大写真パネルを展示)。
天井画の件で非難された彼自身の境遇を重ね合わせるイメージとして、幸福を求めて戦う「黄金の騎士」を作中に登場させますが、これも人々の理解を得られず、、、
ついに、今回の目玉となる作品が誕生しますキラキラ


グスタフ・クリムト
《人生は戦いなり(黄金の騎士)》
キャンバスに油彩、テンペラ、金箔
1903年 100×100
愛知県美術館
風景写真 レンズ3

行く手を阻むヘビになど目もくれず、
楽園を進む「黄金の騎士」。
どんなに批判を受けようとも、理想とする芸術の実現に向かって邁進する、自らの決意を表現したのでしたプンプン

昨年、ウィーンのレオポルト美術館で開かれたクリムト展に、この《人生は戦いなり(黄金の騎士)》を出品したお返しとして、レオポルト美術館から13年ぶりに来日した作品《アッター湖畔》(1900年)もありますよ。
(個人的には《死と生》(1910年)に来てもらいたかったけど…)


それから、、、
クリムトが《人生は戦いなり(黄金の騎士)》を描いた1903年は、ウィーン工房が設立された年とのことで、同工房で制作された家具、食器、アクセサリーを多数展示キラキラ
また、彼が影響を受けたジャポニスム関連の品として、鈴木其一の屏風、型紙、能装束も展示してます。


◆ Ⅲ 勝利のノクターン―クンストシャウ開催から新たなる様式の確立へ

グスタフ・クリムト
《リア・ムンク Ⅰ》
キャンバスに油彩 1912年 50×50.5
個人蔵
風景写真 レンズ9


グスタフ・クリムト
《オイゲニア・プリマフェージの肖像》
キャンバスに油彩 1913-14年 140×85
豊田市美術館
風景写真 レンズ10


グスタフ・クリムト
《赤子(揺りかご)》
キャンバスに油彩
1917-18年 110.9×110.4
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
風景写真 レンズ1


派内の対立から、クリムトは1905年にウィーン分離派を脱退し、翌年、オーストリア芸術家同盟を結成。
1908年に『ウィーン総合芸術展』(クンストシャウ・ウィーン)を開催します。
このころから色彩もカラフルに…虹

《リア・ムンク Ⅰ》は24歳で自らの命を断った女性の肖像画。
《赤子(揺りかご)》は本邦初公開だそうな。


展示の最後は、
ブリュッセルの実業家アドルフ・ストックレーの館(世界遺産ストックレー邸)の食堂の壁を飾る《ストックレー・フリーズ》の、下絵の原寸大レプリカ。

邸宅の食堂に見立てたこのスペースは、
写真撮影OKですよカメラ

風景写真 レンズ2


グスタフ・クリムト
《ストックレー・フリーズ : 期待》(下絵)
紙にテンペラ、水彩、金、銀、ブロンズ、木炭、鉛筆、白のハイライト、金箔、銀箔
1908-11年
オーストリア工芸/現代美術館
風景写真 レンズ3


グスタフ・クリムト
《ストックレー・フリーズ : 狭き壁面》(下絵)
紙にテンペラ、水彩、金、銀、ブロンズ、木炭、鉛筆、白のハイライト、金箔、銀箔
1908-11年
オーストリア工芸/現代美術館
風景写真 レンズ4


実際のストックレー邸の食堂は、こんな感じらしい…キラキラ

(参考画像)
風景写真 レンズ5


【ストックレー・フリーズ(下絵)@オーストリア工芸/現代美術館】



名古屋での展示総数は、208点(前期・後期あわせて)です。
油彩画が少ないのは残念だけど、
(できれば《パラス・アテナ》《ダナエ》《乙女》《水蛇 Ⅰ》なども観たかったタラー
その他の展示でクリムトの画業をしっかりとたどっているし、ウィーン分離派の活動内容を知ることもできたので、よしとしましょう!(←上から目線パンチ!

ぜひ、実物をご覧あれ~音符


『クリムト 黄金の騎士をめぐる物語』
◆2012年12月21日(金)-2013年1月20日(日)【前期】
 2013年1月22日(火)-2月11日(月・祝)【後期】
 愛知県美術館
・Twitter →
長崎県美術館宇都宮美術館(栃木)に回ります)


愛知県美術館 →
(名古屋市東区東桜1-13-2)

「ワタシのイチ押し」 関連記事
・『クリムト 黄金の騎士をめぐる物語』②(2012-13年)

・テーマ「象徴主義」の記事一覧 →