愛知県美術館
『印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで』(2014年)

風景写真 カメラ1


ちわ、クマ太郎ですくま

『印象派を超えて―点描の画家たち』を愛知県美術館に観に行きました。

「点描技法」、いわゆる「分割主義」にはあまり興味が無かったのですが、この展覧会は楽しめました。
説明臭さの無いキュレーションも好印象です。最近の愛知県美術館、いいですね。

今回の展示はクレラー=ミュラー美術館の協力によるもので、オランダのオッテルローにあるこの美術館はゴッホの約270点のコレクションで有名です。
また、スーラやシニャックを始め、美的感覚を重視した視点での収蔵がすばらしく、結果として分割主義の作品の莫大なアーカイブとなっています。

展示は、以下の通り五つのセクションに区切られています。
・「印象派の筆触」
・「スーラとシニャック―分割主義の誕生と展開」 
・「ゴッホと分割主義」
・「ベルギーとオランダの分割主義」
・「モンドリアン―究極の帰結」

興行として成立するためには多面的な展示をしないと上手くいかないわけで、そこら辺りの努力の跡が見えるのが好印象でした。
スーラやシニャックの光の粒子を掴もうとする美的感覚、印象派との交わり、ゴッホの筆触との関連、オランダと隣国ベルギーの相互影響、モンドリアンのたどり着いた境地…
時間軸をなぞるだけでない、コンパクトで「これぞ!」という作品をチョイスしているのも素敵でした。   


フィンセント・ファン・ゴッホ
《太陽と雲のある囲われた麦畑》
賽の目紙に黒チョーク、葦ペン、インク、白の不透明水彩
1889年
クレラー=ミュラー美術館
風景写真 レンズ1


ゴッホに関して感じたのは、「点描」という技法を、一度自分の中で消化してしまったところが彼のスタイルを大きく変化させたのだろうなということです。
分割主義的な技法を一旦自身の技法の引き出しに収めて、時間をかけて寝かした後、それが重要な栄養として彼の血肉になるという…
後年の彼のスタイルは、この時期の分割主義だけでなく、イタリアの分割主義(ディヴィジョニズモ:Divisionismo)にも通じる概念ではなかったのかと思わせます。むしろ点ではなく線で、厚塗りと薄塗りのコントラスト、自分の精神にフォーカスを当てた画面など、共通点を見いだせる気がするのですが、いかがでしょうか。

【ファン・ゴッホ作品集@クレラー=ミュラー美術館】



もうひとつ、モンドリアンの初期の作品を実際に観られたことは個人的に嬉しかったです。
こういうものが沢山観られると、画家の内面や思考に触れることが出来て時間が過ぎるのも忘れてしまいます。

印象に残ったその他の展示を掲載します。
こうした作品に囲まれて過ごすのは幸せです。


アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド
《裁縫する女》
紙にパステル、チョーク、鉛筆 1891年
クレラー=ミュラー美術館
風景写真 レンズ2


ヨハン・トルン・プリッカー
《レ・ゾー》
紙にパステル、チョーク 1900-04年
クレラー=ミュラー美術館
風景写真 レンズ3


ヤン・トーロップ
《秋》
厚紙に油彩 1908年
クレラー=ミュラー美術館
風景写真 レンズ4


とても素敵な展示でした。
ぜひ皆さんも行ってみて下さいねくま


『印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで』
◆2014年2月25日(火)-4月6日(日)
 愛知県美術館
・Twitter →
(愛知が最終会場です)


愛知県美術館 →
(名古屋市東区東桜1-13-2)

クレラー=ミュラー美術館 →

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