愛知県美術館
『印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで』(2014年)

風景写真 カメラ1


普段聞き慣れない美術用語、「分割主義」。
色彩を純色(ほかの色と混ぜない純粋な色)の小さな点に分解して描く、ことなんだそうです。
しかも、ただの点描ではなく色彩理論に基づいたものでもあるらしい……

オランダのクレラー=ミュラー美術館のコレクションを中心に、点描のルーツから抽象画まで、分割主義の画家たちの作品を展示紹介。
これまでにない切り口の展覧会ということで行ってきましたよ〜音符
(全5章、25作家、展示総数92点)


まず、ワタシのイチ押しは……


ヤン・トーロップ
《オルガンの音色》
厚紙にチョーク、鉛筆 1889-90年
クレラー=ミュラー美術館

オランダの画家、ヤン・トーロップ(1858-1928)の
象徴主義的な作品。

暗い画面に妖しくも美しく浮かび上がる白い影……
教会でオルガンを弾く長い髪の女性(横向き)と、
骸骨(左下の白い点々)、
ギリシャ神話の白鳥とレダのモチーフ(右下にあるんですが作品に近寄らないと見えないタラー)だそうで。
意味不明だけど、この雰囲気がよいですピンクハート

【ヤン・トーロップ作品集】



そして、そのほかの展示作品~キラキラ
(解説文は、展覧会のチラシと鑑賞ガイドから抜粋しています)


◆ Ⅰ 印象派の筆触

印象派の作品は、移り変わる自然の様子を細かいタッチでとらえる「筆触分割」を特徴としています。
混色しない純粋な色を使うことで、作品をより鮮やかに見せるテクニックが用いられました。


クロード・モネ
《ジヴェルニーの草原》
キャンバスに油彩 1890年
福島県立美術館


アルフレッド・シスレー
《舟遊び》
キャンバスに油彩 1877年
島根県立美術館


◆ Ⅱ スーラとシニャック―分割主義の誕生と展開

スーラは、印象派の感覚的な筆触分割に飽きたらず、科学的な知識(色彩理論)をもとに独自の点描技法を開拓しました。
シニャックは夭折したスーラに代わり、その点描技法の理論化に努めました。
(色彩理論の概要については、会場入口に置いてある「鑑賞ガイド」をご覧ください)


ジョルジュ・スーラ
《入江の一角、オンフルール港》
キャンバスに油彩 1886年
クレラー=ミュラー美術館


ポール・シニャック
《マルセイユ港の入口》
キャンバスに油彩 1898年
クレラー=ミュラー美術館


マクシミリアン・リュス
《パリ、モンマルトルからの眺め》
キャンバスに油彩 1887年頃
クレラー=ミュラー美術館


◆ Ⅲ ゴッホと分割主義

点描技法よりも、補色をはじめとする色彩の用い方に魅せられたゴッホは、そこから独自の色づかいを確立していきます。
ゴーギャンもまた、一時的に点描を試みましたが、すぐにこれを捨て、独自の様式の創造へと進みました。


フィンセント・ファン・ゴッホ
《自画像》
厚紙に油彩 1887年
クレラー=ミュラー美術館


フィンセント・ファン・ゴッホ
《レストランの内部》
キャンバスに油彩 1887年
クレラー=ミュラー美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ レストランの内部


フィンセント・ファン・ゴッホ
《種まく人》
キャンバスに油彩 1888年
クレラー=ミュラー美術館


ポール・ゴーギャン
《ブルターニュの少年の水浴(愛の森の水車小屋の水浴、ポン=タヴェン)》
キャンバスに油彩 1886年
ひろしま美術館


◆ Ⅳ ベルギーとオランダの分割主義

シニャックの精力的な活動により、フランスからベルギー、オランダへ分割主義が伝播。
これらの地域では、科学的な色彩理論よりも、色彩の象徴的な意味や様々な感情を引き起こす効果が追求されました。


アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド
《夕暮れ》
キャンバスに油彩 1889年頃
クレラー=ミュラー美術館


テオ・ファン・レイセルベルへ
《7月の朝》あるいは《果樹園》あるいは《庭園に集う家族》
キャンバスに油彩 1890年
クレラー=ミュラー美術館


ヨハン・トルン・プリッカー
《花嫁》
キャンバスに油彩 1892-93年
クレラー=ミュラー美術館


◆ Ⅴ モンドリアン―究極の帰結

トーロップとの交流の中で点描も経験したモンドリアンは、やがてキュビスムの刺激を得て、抽象へと向かっていきます。


ピート・モンドリアン
《グリッドのあるコンポジション5 : 菱形、色彩のコンポジション》
キャンバスに油彩 1919年
クレラー=ミュラー美術館


ピート・モンドリアン
《赤と黄と青のあるコンポジション》
キャンバスに油彩 1927年
クレラー=ミュラー美術館


……と、こういう感じ。
展覧会のチラシにもあるように、
"つぶ" ぞろいの名画に出合えますよ。

ただ、、、点描の絵は面白いけれど、
一度にたくさん見るとなかなかアタマが疲れるわタラー
最後にもう一回、印象派の展示室に戻って、
ホッとため息をついたのでした照れ


『印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで』
◆2014年2月25日(火)-4月6日(日)
 愛知県美術館
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(愛知が最終会場です)


愛知県美術館 →
(名古屋市東区東桜1-13-2)

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