歌詞づくり ~まず文章化、からの | 先端ポピュラー音楽中学院中学・旧本館

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「新しくてしかもいい曲」を目指して曲作りをする、
“当学”の助手兼学生・Kaguemoriの迷走っぷりを楽しむブログです。

ここのところ自分の中で、「詞先」というのでしょうか、歌詞世界に先導される(できれば斬新な)楽曲づくりに興味が高まっています。(なお今日の記事は、まったくの初心者向けではありませんが、もちろん達人向けでもないと思います。)

 

さて、そこで「歌詞から自動作曲」を検索してみたら、いくつかのサービスがヒットしました。浅学にして知らず。

その中で、大学の研究が発端となったサービス(無料ユーザー登録が必要のようです)は過去作品ならばいろいろ聴けたので、「紹介+作品例」から何曲か聴いてみたら、驚きました。ほぼほぼ楽曲として成立しており、言わなければ人間(アマチュア)が作曲した場合との区別がつかない気さえしました。もちろんモノにはよります。

生成される歌唱やサウンド面はあえて質を追求していないようですが、メロディーや譜割りの修正、アレンジをし直すなどの使い方次第で、創作の初めのとっかかりとしてはきわめて有用そうに思えます。

しかも複数キーワードからの作詞機能も同時に提供されているようで、作例も。こここ…これは…ということは…。
※ただしこのサービスなりの“癖”もあるみたいです。たとえば西洋音楽の規則を重んじている、などなど。

 

ともかく、歌詞づくりに関しては文学という面があると気づき始めたので、これまで小説をあまり読んでこなかったし書いたこともないせいで難しく感じるのかも?と思い、今回は引き出しを増やす試みをひとつ。手始めに、人工知能が書いたっぽい超短編小説を人力で作成してみました(例の“自動一句システム”を応用)。それならば比較的簡単に手早くできます。あとはこれを適当にトリミングしたり改変をして、上記の自動作曲システムに食わせれば…(やりませんが)…どうするかはともかく、曲をつければ…。
なお以下が今回の作文例です。お暇な方のみどうぞご覧ください。

 

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『自動一句システムは一人で笑う』

 コタツ型のコンバインを運転していると、僕の虫ゴムにハプニングが起きた。仕方ないのでうちに帰って時代小説の名著『経済評論家の玄米』を読んでいたら、今日は基底現実のほうで学校に行かなきゃいけない日だということを思い出した。急がないと。間に合うかな。無性に腹が減っていたが、さらなるハプニングを防止するため、パンをくわえるのはやめにした(日本では事故にまつわるジンクスが言い伝えられているからだ)。
 やたらと重いランドセルで潰れそうになりながら、通学路を歩き出すとすぐに、ここ10年は見かけなかったやきいも売りの軽トラを見つけた。ほそい煙突から水蒸気の白い煙が高く上がっている。たき火のような香りが食欲をそそってきたが、勢いよく煙が上がるということはまだ焼き始めたばかりだったのかもしれない、と気づいたのは後のことである。
 強い吸引力に抗(あらが)いつつ必死に歩き続けると、今度はどこからか不思議な香りがした。はじめは何だかわからなかったけれど、それは花だった。10メートルほども離れた梅の木から、予想以上に強い香りがただよっていたのだ。木はもう満開に近い。
 遠くなった過去の出来事などをぼんやりと思い出しながら、明けの明星が光る午前5時の通学路を歩き続ける。しかし今日はこのあと、ジャージを着たコンサルのソリューションを聞いて、ディスカッションしなくちゃいけないんだ。あとはダンスのレクチュアがある。そして僕は小学校を卒業したら、首尾よくバーベキューセットの評論家になるんだ。
 ひんやりとした空気の中を足早に学舎へ向かう背に、どこからか、風が奏でる笛の音が聞こえた気がした。(了)

 

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妙な設定と細部はさておき、この雰囲気や感情のコアを抽出・精錬することで、そのあとの楽曲として訴えかけるものは強くなりそうな気もします。ともかく一部分でも使えるところがあれば儲けもの、そこから膨らませればよいかなと。
さらに別案で、ストーリーを絵コンテにするなどして「絵コンテに曲をつける」というやり方も面白そうだと思いました。(ただしやはり歌詞はいりますね。)
方法論が多様なのは当然ですが、いや深くて広い。

 

※ちなみに今回使った、手元の“自動一句システム”からの出力は30個で、次のようなものでした(順不同・他は割愛):

玄米 × 経済評論家
コタツ × コンバイン
ハプニング × 虫ゴム
ソリューション × ジャージ
バーベキューセット × 評論家
ランドセル × ランドセル