カフカ「城」2 | 世界文学登攀行

世界文学登攀行

世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。

P101-200

へんてこりんな話なのに、妙に引き込まれながら読んでいる。

普通の小説だって、普通の世界の延長にありそうな世界だけれど、架空の世界なのだ。
それが、普通らしく見えるか、不思議な世界観に見えるか、という違いだけで、本質的には一緒なのかもしれない。

主人公のKだけが、読者と同じ感覚を持った人間と言えるのだが、登場人物が話す言葉も、逆に突き抜けていて妙に迫力がある。
ただ、やっぱり読者である自分とは共有できない小説世界に流れる感覚は、注意深く読まなくてはいけないので、とても疲れる。

1回に読めるページは10ページ前後と少ないのだが、細切れに何度も読むので、読むペースは速い。
僕がはまる小説というのは、そういうスピード感で読むことが多いので、読み応えのある面白い作品なのだろう。

しかし「審判」といい、こんな世界観を描き切ってしまうカフカという人は、やはり力のある小説家なのだと思う。
人だけじゃなくて、設定から何から、表現のためにいちから作り上げてしまう小説世界。
ありえない話なのに説得力があって、なんじゃこりゃいったいと思いながら読み進めている。

この小説がどこに向かうのかも含めて、ずっと楽しみだ。