ハーディ「テス」2-1 | 世界文学登攀行

世界文学登攀行

世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。

P1-95

没入している小説がそんな展開をするものだから、ずっと救いのない気分になっている。

いろんな小説があって、その中には主人公が不幸になっていく姿を描いたものもたくさんある。
でも今回のは過去に読んだそういう小説から抱く印象とも違う異質なもの。
みんな、信念があったり、快活だったり、善良だったりするのに、その良い部分が決して失われたわけではないのに、ボタンの掛け違いからあれもこれもおかしくなっている。

登場人物に向かって、お前ふざけんなよとか、そんな我慢しなくていいから楽になろうよとか、呼びかけるけれど、もちろんその声は届かない。
「テス」は朝の出勤前や、仕事の合間のすきま時間に開いているのだけど、不意に大きなダメージを受けたり、仕事に支障が出てしまうくらい響いている。

上巻は373ページあったけれど、下巻は292ページと少し短い。
だから、あと200ページくらいで結末を迎える。

前回記事で「登場人物は一人を除いてみんな幸せになればいいなと思うけれど、そんな未来は訪れないんだろうなとため息をつきながら続きを読むことにしたい。」と書いたけれど、もうそんな高望みはしないから、せめて主人公だけでも、何とかしてあげてくださいと作者に祈るような気分だ。
男の方は、あとで説教しときます。まじで説教。

読むのは苦しいし、小説にでてくるのは架空の人物なんだからとわかっていても、本当に落ち込む。
苦しいし、早く続きが読みたいし、結末が知りたいけど、一気に読まずに、ちびりちびり心を削られるような感覚を味わいながら読みたいと思っている。
矛盾しているようで、これが読書の醍醐味なのだと思う。

だけどだけど、やっぱりつらいなあ。