日本再建イニシアティブ「現代日本の地政学」 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。

現代日本の地政学
――13のリスクと地経学の時代


本書は、独立系シンクタンクである、日本再建イニシアティブというところが書いたものである。


近年、超大国として台頭してきた中国が、第二次世界大戦後にアメリカが主導して作り上げてきた世界秩序を揺るがしている。
現在の世界情勢というのは、僕の理解していないところで、実は激動の時を迎えている。


世界の主要プレイヤーの一人である、我が日本は、激動の世界の中で、どのようなリスクを抱えているのであろうか。
アメリカ、中国、ロシア、朝鮮、それぞれとの関係。
また、エネルギー、サイバー戦争、気候変動、トランプ大統領の誕生、中国の「一帯一路」政策、ポストTPPという、世界規模の横断的な問題。
本書は、上述の問題を、それぞれの専門家が執筆する、というスタイルを取っている。


もちろん、リスクというのは、それが顕在化するかどうかというのはまた別の話でもある。
将来予測とは外れるものであるし、執筆者の主観もあろう。
しかし、日本というものを通した世界、ということをこれほど意識したことはなかった。
読後感を一言でいえば、目が覚めた、という表現しか見当たらない。


グローバル社会と言っても、生涯を日本で終えるであろう自分には、世界は自分とは無縁の存在であると思い込んでいた。
まさに、本書は、精神的鎖国を打ち破る四隻の黒船であった。
衝撃の一書であった。


さて、本書は1年前に執筆されたものである。
トランプがアメリカ大統領になってしまったぞ、どうなるんだ、という空気感が読み取れる。
しかし、本書が世界をダイナミックにとらえた視点は、的確だったと言っていい。
まさに予言書のように、現在進行形の世界情勢を伝えるニュースを理解することができる。


日本はこれからどこへ向かうのだろうか。
日本国民の一人としての自覚を呼び覚まされた。



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