マンゾーニ「いいなづけ」1-5終 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。

P401-466終


上巻読了。
面白かった。


世界の古典名作の作者に上から物申すシリーズになってしまうのだけど。


この人、うまいなあ。
どんなことを書かせてもうまい。


群衆の熱狂、臨場感。
それが単にスケッチ風な描写ではなくて、人々の動機、群集心理、そういうものが見えるような、まさに物語の舞台に、今、僕が立っている、そういう感覚の読書だった。


内容の密度は濃いのに、するすると読めてしまう。
原作の面白さによるところがあるのはもちろんだが、翻訳も相当苦心されているのだろう。
上巻を読み終わってびっくりしたのが、注が1個もない。
200年前のイタリアの小説である。注が必要ないわけがない。


これだけの力作、もっと日本で紹介されてもいいのになあと思ったところで、中巻へ。