P1-100
下巻を読み始める。
「原著序」に書かれているが「この作品の省略版を作ることは、真価を冒涜するものであるとともに、不埒でもあり滑稽でもあろう。もしこの書を短かくしようとする者があれば、価値を減ずるばかりでなく、宗教的および倫理的な思索を本書から一掃してしまうことになりかねない。これらの思索こそ、実は、本書の最大の美点であるばかりでなく、読者を無限に啓発する意図をもって述べられているものなのである」(P6)と。
著者の意図はとてもよくわかる。
確かにこの作品は、心躍る冒険譚も、機知に富んだ智慧の発露も、非常に寓意的なもので、実際に伝えたいことは、とても説教くさく、啓発的であることは上巻を読んだ僕の感想でもある。
しかし、著者のすごいところは、そのために作った話しが面白すぎたのだ。
それがゆえに、本当に伝えたかった部分を逆にまどろっこしいとカットされた省略本が世に出回ったようだ。
さて下巻も500ページを超える大長編である。
最初の100ページを読んだところだが、長編の序盤にふさわしく、大きくゆるやかに船に帆を張っているところであろうか。
この物語はどういう方向に進展していくのかわからない。
再びの心躍る航海に旅立とうと思う。
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