アンニョンハセヨ~
久々に、超没入感に浸れる大傑作と出会えて、2周してきました
ロスというより余韻がすごいです
韓国ドラマのクオリティの高さやスケールの大きさを改めて実感
だいぶ前から本命作品の1つだったのになかなか開封できなかったのは、ヘビーそうなテーマであることに加え、「太陽の末裔」も「トッケビ」もそこまでハマれなかったので、キム・ウンスク作家とは相性が悪いんだろうと思っていたからです。
しかし今回は、もっと早く視聴すればよかったと思うほど好みでした。
※画像はtvN公式より
■視聴時期
2022年6月
■お気に入り度(5点満点)
★★★★★
■視聴方法
Netflix(全24話)
■放送開始年
2018年
■放送局
tvN
※以下はあくまでもkabo個人のたわ言です。マイナス点も挙げていますのでご容赦ください。
※以下よりネタバレありです。
■満足点・共感点
1.迫力映像と繊細なセリフ
ダイナミックな戦闘シーンや、川や雪などの自然描写、外灯で照らされた街並み、カラフルなカフェメニュー、工藤ヒナの衣装、逆光のシルエット……など、すべての映像に迫力があって美しくて、OSTの親和性も素晴らしかったです。
そして、最終回のトンネルのシーンは、ハリウッド映画さながらのスリリングな演出で、超ドラマチックなサッドエンディング
「Gun、Glory、Sad ending」は劇中で何度も表現されてきたけれど、このシーンでの集大成は想像以上でした
「あなたは前に進み、私は後ろへ」も、まさかここで回収されるとは
そして、迫力ある演出とは対照的に、セリフは1つ1つが繊細で、ちょっとしたセリフやシーンの反復もめちゃくちゃ凝っていました。
敵味方関係なく、すべてのサブキャラの些細な行動やセリフ、そして死に様の描き方までが物語に必要不可欠なパーツであり、メッセージやテーマを構成していました。
また、自分が感じた作品メッセージのキーパーソンはヒソンでした。
最初はこっそりと取り寄せた新聞を読んでいたエシンが、結局「文字は非力だ。だから私は銃を選ぶ」と決意したけど、後にヒソンは「文字」を力に変えて、4人とは違う武器(彼にとってのGun)で戦います。
実際に、ヒソンが閣僚たちを撮影するときのシャッター音がGunの音でした。
そして、いつか後世で発見されるヒソンの記録を通じて誤った歴史は反省されたり、現在や未来に活かされることで、彼らはようやく「Sad ending」から「Glory」となるわけですね。
「ペンは剣よりも強し」の通り、現代社会へ向けた平和へのメッセージはもちろんのこと、社会を動かす力がある脚本家のプライドも込められているんだろうと思いました(kaboの妄想です)。
2.時代設定とテーマに興味津々
物語の舞台は、1900年前後の大韓帝国時代がメイン。
昔読んだ「蒼穹の昴」とほぼ同じ時代だけど、清から見た朝鮮がどのように描かれていたか覚えていない
Kドラ視聴者的には、何本か視聴した歴史ドラマでおなじみだった科挙制度や身分制度などが、このタイミングで終焉したことを初めて理解できました。
韓国でもこの時代を扱った作品はあまりないようですが、キム・ウンスク作家が、英国人記者が撮影した1枚の写真(最終回の義兵団の集合写真)から着想したと知り、やっぱり脚本家の発想ってすごすぎる……と驚愕。
ドラマでは実際の写真の並び順がちゃんと再現されていたので、ここから逆算でキャラクターが生まれ、物語が作られたのか……。
前述したように、「記録」が存在しなければ彼らの存在は歴史に埋もれていたかもしれないから、最後に皇帝の前で死亡した義兵の名前が読み上げられたシーンは、単に日本(伊藤博文)のシーンとの対比だけではなく、真のテーマの結末ともいえます
ほかにも、調べてみるとユジンやヒソンにはモデルとなった人物がいたそうだし、ドンメが所属する組織もモデルがあるそうで、そう思うと単なるフィクションと割り切れなくなってしまい、ますます物語の世界にどっぷり浸かりました。
エシンのラストシーンが2年後の「1909年」だったのも、絶妙な幕引きで、脚本すごすぎる!と思いました。
3.サッドエンドへの緊張感
「Gun、Glory、Sad ending」が表しているように、時代的にも主要キャラの立場的にも、手放しのハッピーエンはあり得ないので、視聴するだけで苦しくなる気持ちを久々に味わいました。
キャラクターは皆、その時代にその立場で生まれたがゆえの抗えない運命を背負っていて、彼らが時代に翻弄されながら生きる姿に何度も涙。
主要キャラの5人はもちろんのこと、義兵も、一般国民も、そして皇帝を始めとする権力者たちも、「個」ではどうすることもできないもどかしさや理不尽さを抱きながら、歴史が作られていく過程に胸が詰まりました。
わかりやすい「悪」として存在したイ・ワニクや森なども最期はあっけなくて、彼らもまた時代のひとコマに過ぎなかったという……。
そして、5人のうちク・ドンメ以外の死は覚悟できていなかったので、けっこうショックな結末でした
特に、ヒソンの死は予想外だった。
一方で、ヒロインたちの志のままに国が存続しても、それがユジンやク・ドンメのような身分の低い人たちにとって幸せな国かどうかは別問題で……、正義って難しい。
他国との争いや権力者同士の対立などは、エンタメフィルターで楽しめる部分も多かったけど、国民同士の身分階層による差別シーンは、生々しくて本当につらかったです。
白丁を残酷にいたぶっていたのは、両班ではなく平民という構図が超リアルで、何とも言えない気持ちになりました。
逆に言うと、本来なら両班にとっての白丁は、視界にすら入ってこない存在なので、ドンメを一人の人間として接したエシンの行動の重さが響きます。
エシンが義兵になった根底には、幼いころにドンメから浴びせられた言葉が影響していたようだけど、いざユジンから「朝鮮を救えたら、奴婢や白丁は暮らせるか」と聞かれると、あの表情が答えになってしまうという現実もあり……。
でも最終的には、朝鮮に捨てられたユジンもドンメも、そしてヒナも、エシンの存在を通じて祖国を感じることができたのでしょう。
4.コメディーシーンによる緩急
基本シリアスで重めの話なのに、意外なほどにコメディーシーンが多く、エンタメ指数が高かったです。
おかげで、何度もハッピーエンドへの期待が芽生えました。
だから、覚悟して囮となったエシンの従者たちの死はキツかった……。
完全なギャグパートだったはずのサブカップルフラグが、まさかあんな形で回収されるとは
そしてコメディーシーンといえば、やっぱり3人の居酒屋シーンが最高すぎました!
ウンスク先生の描くブロマンスは、本当に魅力的
最終回は、完全にこの後はサッドエンド一直線とわかるから、今までで一番ほのぼのとした居酒屋シーンだったのに涙が止まらなかったです
5.ク・ドンメが切なすぎる
「賢い医師生活」や「応答せよ1994」などで富裕層&超善人のイメージがこびりついているヨンソク様が、今回は最下層出身で日本仕込みの任侠キャラということなので、イメージ違いすぎないか?と心配しながら視聴開始。
その心配は杞憂でした(*´ω`)
壮絶で悲しすぎる過去を持ち、任侠チームの親分なのに繊細な心でヒロインを一途に思い続けるピュアなキャラクター。
切なさ指数はKドラ史上トップレベルではと思うほどで、特に後半は、浪人のコスプレをしたチルボンにしか見えなかったです
最終的にはヒソンからも「あなたは実はまじめですよね」とか言われてたしw
馬に引きずられたラストシーンは、日本人になって朝鮮に凱旋したときと反転の構図になっていて、めちゃくちゃ泣いた。
そして、彼の優しい声のおかげで、ドスのきいたセリフでも甘い感じに聞こえて萌え萌えでした。
ロン毛+和服や柔道着でチラ見えする胸元がセクシーすぎて、これまでに視聴したヨンソク様のキャラクターでは、一番色気がすごかったな。
殺陣シーンはめちゃくちゃ素晴らしかったし、別作品ではドラムも叩いちゃうし、ヨンソク氏の役作り(&体作り)には毎度驚きます
期待していた裸体も随所で披露していただきありがとうございました
そういえば、「賢い医師生活」「応答せよ1994」「ミスター・サンシャイン」と、ヨンソク氏出演のドラマは全部、自分のお気に入り度が5点満点なんです。
「浪漫ドクターキム・サブ」も早く観たい
6.チャン・ドンユンのライジングスター感
もともと、この作品の視聴動機の1つはチャン・ドンユン氏でした(その後、賢医でヨンソク氏を知って、俄然観る気がわいた)。
でもね、ク・ドンメに夢中になってドンユン氏のことを忘れかけていた矢先に16話で降臨。
やっぱり、強盗を捕まえたニュースがきっかけでスカウトされるだけあって、存在感がありました!
品のある小さな顔が、両班の衣装にめちゃくちゃマッチするので、久々に「ノクドゥ伝」を観たくなった
軍服もお似合いだったので、BSで録画した「サーチ」がめっちゃ楽しみです
7.「太陽の末裔」「トッケビ」キャスト大活躍
エピソード1で、いきなり末裔のサブカップルが夫婦役で登場したときは、そこまで末裔ファンではない自分でも胸熱!
そして最後に、末裔カップルは義兵夫婦の生まれ変わりだったことを匂わせる、トッケビのギミックまで絡めた秀逸なセリフ
その流れで、本作のキーワードの1つ「See you again」を表現しているのもすごい
全然別のドラマだけど、ク・ドンメの生まれ変わりが「賢い医師生活」のジョンウォンで、現世ではお金持ちに生まれてたくさんの命を救い、好きな人と幸せに結ばれる人生になったと思いたいです
あとは何といっても、通訳官のチョ・ウジン氏と質屋のキム・ビョンチョル氏が似ていることをネタにしたギャグシーンに爆笑www
「トッケビ」の秘書(後の会長)とパク・チュウホン(後の幽霊)役の俳優が似ていることが、当時韓国でも混乱を招いたそうですね(わたしも当然混乱しましたww)。
今回のギャグシーンは、混乱を招いたことへのお詫び(ファンサービス)なのかなw
そしてそして、ラストシーンのキム・ミンジェ氏、めちゃくちゃ素敵だったぁぁーーーーーー
「トッケビ」のときから気になっていた自分好みのお顔なので、久々に拝見できてうれしかったです!
チャン・ドンユン氏にも似てますよね
■モヤモヤした点・共感できなかった点
●主役カップルに萌えられず
イ・ビョンホン氏については、韓流スターの元祖四天王であることをぼんやり認識していた程度で、あまり興味のある俳優さんではなかったのですが、やっぱり存在感がすごいと思ったし、卓越した言語力や繊細な演技にだんだん引き込まれていきました。
それどころか、色気のある表情にと思うことも何度かあり。
でもね、さすがに実年齢より10歳も若い役はちょっと無理があっったのでは……。
それでもユジン単体なら全然よかったのですが、童顔で20歳も下のキム・テリさんと並ぶと親子感すら漂ってしまい……、2人のラブラインに全然ハマれなかった
そのせいか、この2人の関係の変化がじっくりと描かれる前半は、ちょっとスローぺースに感じてダレました。
普通のドラマならキスシーンがないと残念だけど、この作品に関しては逆になくてよかったです。
物語としては文句なしに満点だったのに、主役カップルのラブラインにハマれなかったので、作品のお気に入度を★4つにするか最後まで迷いましたが、ク・ドンメ加点で★5つにした次第です
●日本語セリフがわかりにくい
日本語を話すキャラクターが、単に日本人なのか、日本語を話す朝鮮人なのかの区別が難しくて、初回視聴時は敵対関係を理解するのが大変でした。
伊藤博文役も韓国人だそうですが、完璧な日本語だったのは在日3世だからのようです。
ちなみに、ホクロのメイクで、昔の1,000円札をすぐに思い出した昭和生まれですw
そして白竜さんは、最初は古田新太さんかと思ったw
あと、東京のお祭りのシーンなのに、盛岡のさんさ踊りだったのもちょっと笑えたし、日本での移動距離が新幹線利用かと思うほどで、少し混乱しました(下関と東京は簡単に行き来できないはずw)。
久々に、日常生活が脅かされるくらい没入感のある作品と出会えて最高でした
これが韓国ドラマの醍醐味なのかしら
とはいえ、次は軽めの作品でリフレッシュしないと身がもたないw
ではまた