アンニョンハセヨ~
またもやすごい作品に出合ってしまいました Kドラ沼深い……
昨年「梨泰院クラス」でKドラデビューし、2作めに「愛の不時着」を視聴したわたしは、この先「愛の不時着」を超える作品に出合えるのかという懸念がずっとありました。
Kドラへの免疫が皆無だった自分にとって、「愛の不時着」は世界観やストーリー、キャラクターなどすべてが衝撃的で、物語への没入感がハンパなく、ビギナーズラック的な加算もあって、忘れられない作品となっています。
しかし今回完走した「麗〈レイ〉〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」は、「愛の不時着」に迫るくらい強烈な印象を受けたので、視聴タイミングによってはこの作品がトップに来たかもしれません。
というわけで、今回の感想も長くなる予感がしますが(いつものこと)、お時間ありましたらお付き合いください
※画像は、配信公式&番組公式をスクショ
■視聴時期
2021年9-10月
■スコア
4.5
■視聴方法
U-NEXT
■放送開始年
2016年
■放送局
SBS
※以下はあくまでもkabo個人のたわ言です。マイナス点も挙げていますのでご容赦ください。
※以下よりネタバレありです。
■満足点・共感した点
1.イ・ジュンギのカリスマ性
初めましてのイ・ジュンギ氏ですが、実は彼のことはずー―――――っと気になっていました。
そんなイ・ジュンギ氏が演じた高麗の名君・光宗とあれば、キャラクターのカリスマ性がハンパなかった
馬に乗った最初の登場シーンからゾクゾクするほどの存在感で、それだけで作品の世界に没入できました。
ファンタジーであることは百も承知なのに、1000年前に確実に生きていた光宗がこんなに悲しい人生だったのかと思って、胸が苦しくなってしまうほどの没入感。
というわけで、満足点のその2は
2.陰のある不良系ヒーロー
例えば「キャンディキャンディ」では
アンソニーよりテリー、「キャプテン翼」では
翼&岬より日向小次郎、「ラストシンデレラ」では
立花より広斗が断然好きだったわたしは、ファンタジーの世界では(←これ大事w)、昔から
陰のある不良キャラ(でも根はまじめで繊細、実はスペック高い)
に惹かれるので、今回は登場シーンから一瞬でにソにハマった
先日視聴したオムニバスKドラ
「僕らが季節なら」でも、ヒロインはストレートな性格でガキ大将タイプの幼馴染みよりも、ミステリアスな転校生に惹かれていたように、陰のある不良キャラはファンタジーの世界では軍配が上がりますよね(同作はチャン・ドンユン目的だったので、そこまでハマらずでしたが)。
●両親(特に母親)からの愛情不足ゆえの陰オーラ
マザコンゆえのこじらせキャラは、ファンタジーの世界限定だと、陰のオーラを放つので魅力的に映る。
物語開始時17歳だったソがスに惹かれた理由は、偏見なしでありのままの自分を受け入れてくれたことが大きく、その背景には、実は中身は23歳くらい(?)だったスの包容力(=母性)があったから。
ソの人格形成の根底にあった母親との関係は、最後まで良好にならず、母の死によってようやく独り占めできたという展開がひたすら切なかった(このシーンのイ・ジュンギ氏の演技、圧巻だった
)。
●武術に優れた無敵キャラ
無敵キャラは、ピンチのときの余裕な雰囲気が男らしくセクシーに映ります。
単身で寺に乗り込んで刺客を滅多討ちにするシーンは、母へのこじれた愛情表現も重なってものすごい気迫と色気。
イ・ジュンギ氏は時代劇に何度も出演されているだけあって、殺陣がかっこいいのはもちろんのこと、乗馬シーンもめちゃくちゃ素敵だった。
走っているシーンだけでなく、馬に乗り降りする所作まで美しくて
スとの2人乗りもよかったし、皇帝との婚姻でスが連れ戻されるときに、先に自分が馬から降りてスを抱えて降ろすシーンとか最高ですた\(^o^)/
●ヒロインを抱き寄せるときいつも片手
このテクはソだけでなく、ヨやウクも披露していましたが、ほかのドラマではあまり目にしたことがないのでめっちゃ萌えた。
高麗時代のハグは片手が基本なのか
特にソは、スと出会いのシーンでも、走る馬に乗りながら片手でスを抱き上げるという、少女漫画もびっくりな演出があって、このシーンで自分はソに完落ちしましたw(このシーンのメイキングを見ると、編集技術にも驚いた)
●恋愛には奥手なのに、計算なしの行動力がある
前半のソは自分に自信がないので、スに対してストレートに気持ちを伝えられなかったけど、スがピンチになったときは本能のままに行動力を発揮するので、完全に少女漫画のヒーローだった
反対に恋のライバルである優等生タイプのウクは、早い段階でスに気持ちを伝えたものの、既婚者だったこともあってか思慮深い行動にならざるを得なくて、とっさの時にいつもソに先を越されてしまう対比がよかった。
自分と一族の保身のために苦渋の思いで立ち去るウクと、何も持っていないからこそ、駆け引きなしでスを守ることができたソ。
このシーンは、皇宮に戻ってきたばかりのソに、ウクが「この皇宮にお前のものはない」と言ったことに対する、図らずも逆転劇が始まったシーンでもありました。
セリフがなく雨の中佇んでいるだけで絵になるジュンギ氏のオーラと表現力が本当にすごくて、ストーリー的にも前半のハイライトだった
今回は、
ワン・ソが第4代皇帝の光宗であることをはじめ、
下記の史実を理解したうえで視聴したので、手放しのハッピーエンドにはならないことを予想しながら、それでも先の読めない展開にドキドキ・ハラハラして苦しかった
(※下記は、ガイド本やネット情報を参考にしてまとめました。誤りがある場合はご指摘いただけると幸いです)
●第1&3皇子は、王位に就くが数年で死亡(よって、崖から落ちたヨは死んでいないと予測可能。これは
「ノクドゥ伝」と同じ展開だった。※本作のほうが先に制作されています)
●ソ(光宗)はヨナ皇女&第1皇子の娘と婚姻し、ヨナとの間に5代皇帝(景宗)が誕生。
●ウク&ペガは死なない(2人の子どもが、それぞれ後の皇帝となるため)
●ペガとウク次女の間に後の8代皇帝(顕宗)が誕生(最終話で出会いのシーンがあった。しかし年齢差22歳……)
● 奴婢按検法と科挙制度の導入
さらに、視聴後に調べて知ったこととして
●10皇子ウンの祖父が謀反(のでっち上げ?)でヨ&ソに処刑されたが、ウンの処遇は不明。
●9皇子ウォンは光宗に服毒自殺させられる。
●8皇子ウクは光宗に粛清される(という説がある)。
●14皇子ジョンの娘が、後に景宗(光宗の息子)の妻となる(ジョンの娘は一人しかいないので、ドラマの中で言えばヘスの娘にあたるのか
)
などがありました。
よって、前半でスの心のセリフ「この中の誰かが光宗になって、何人かは彼に殺されるんだ……」はドラマとしてのミスリードで、実際にはソが光宗になってから粛清した兄弟ではっきりしているのは、9皇子ウォンだけのようです。
光宗が粛清した有名どころとしては、兄弟よりもムとヨの息子(甥)や側近ですね。
とはいえ、第1皇子ムと第3皇子ヨも(光宗に?)暗殺された説もあるので、ドラマ内で脚色された2人の死に関するエピソードは、想像力を掻き立てらる。
あとは、ドラマならではの設定で見事と思ったのが、現代のスが美容部員であること。
彼女の特技がソの心身の傷を癒やして、図らずも彼の人生に影響を及ぼすだけでなく、茶美園でバリキャリ(?)として働く自立キャラにより、ヒロインが視聴者の共感を得られたと思う。
実際の光宗の顔に傷があったかはわからないけど(たぶんないと思う)、国家の基盤を築いた名君としての顔と、“血の君主”といわれるほどの残虐性の二面性を両立させるうえで、とても説得力のあるパーソナリティになっていた。
ソの傷が後にスの手首の傷とリンクされて、スの皇宮入りが可能になる流れもよかったし。
さらに、光宗の功績として有名な奴婢按検法と科挙制度は、どちらもスの存在や言葉がヒントになって生み出されたという設定もよかった。
4.各キャラの変貌表現
各皇帝即位のタイミングに合わせて、物語が一気に数年経過していくため、メインストーリーは足かけ8~9年(ラストシーンはさらに数年後)の期間の物語でした。
設定年が切り替わるごとにキャラの風貌が少しずつ変わって、同時に内面も変わっていくわけですが、やはり光宗のキャラ変が圧倒的だった。
物語開始時(1941年末)17歳だったソが24~25歳で即位し、ラストシーンは1955年生まれの息子(景宗)が「お父さんを怖い」と言って怯えるくらいの年齢だから、少なくとも30代半ばになっている計算(韓国の年齢ではなく実年齢で表記しています)。
最初は、当時30代前半のイ・ジュンギ氏が17歳スタートという設定にびっくりしたけど、当時の人々の寿命や結婚の年齢を考慮すると現代人より10歳くらい上の精神年齢で生きているだろうし、最終的には実年齢以上の設定だったので、全然違和感がなかった。
あとは、前半の16歳のスの完成度が高かった。
特にウクに対する表情が、好きな人に対する少女のかわいらしさ全開で、ソをはじめとするほかの皇子たちへの態度や表情と全く違って。
パステルカラーの衣装も似合っていて、めっちゃ可愛い
逆に後半は、老成したような深みのあるキャラクターになり切れていなかったのが残念(外見が可愛すぎるので仕方ないかもですが)。
あとは初回視聴時、ウクのキャラが前半と後半で変わりすぎて若干違和感があったのですが、2周してみると、
前半からすでにウクの内に秘めた野心や保身の片鱗がきちんと表現されていて、さすがカン・ハヌル氏
ハヌル氏の作品は映画を入れると4作品めになりますが、どのキャラクターも同じ人が演じているとは思えない完成度があってびっくりする。
優等生キャラのウクは、最初
「ミセン―未生―」のベッキと被るなーと思って視聴していたのですが、似たようなイメージのキャラでも全然違う仕上がりになっていて、やはりハヌル氏すごいと思った。
ラストシーンはIUちゃんと逆の評価で(生意気な書き方ですみません)、ソと同じく30代半ばになったウクの生きざまが伝わる素晴らしい完成度。
「椿の花咲く頃」のラストシーンでも、
後ろ姿(訂正:表情)だけで50歳近くになったヨンシクが見事に表現されていたし、ハヌル氏は老けて見えるのかなーと思いきや、「麗」の番宣動画で現代服姿でほかの俳優さんと並んでいる素の様子を見ると、20代の若者らしく初々しくてピチピチ
していたから、やはり演技力が凄まじいのですね
5.当時の人たちの罪への気持ちが同じ
時代劇では主要キャラ、モブにかかわらずたくさんの人が死んでしまうので、人を殺すことの正当性について視聴者の感覚も少しマヒすることがあると思います。
もちろん主要キャラの死はかなりセンセーショナルなエピソードとして描かれますが、わたしのわずかな時代劇経験値では、主要キャラが刺客やモブキャラを殺したときの葛藤まで描かれたことはなかったような……。
スのためにウクが刺客を殺した日の夜「わたしのために人を殺すことになってごめんなさい」というスに対して、最初にウクは「11歳の時に初めて人を殺したとき、盗賊から家族を守ることができて誇らしかった」と返します。
ところがスに
「今でもそれを覚えているということは、内心はよくないことと思っているからでは」と言われてウクがハッとし、大義名分のための殺人は誇れることだと思わされていたウクの葛藤が描かれた見事なシーンでした
また、ソが単身で寺に乗り込んで刺客と僧侶を全滅させた日も、スが「あなたはただ人を殺したかったわけではない。生きるためにやむを得なかったのでは。
生きたいと思うことは罪ではない」と言って、周りからは人を殺すことを何とも思わない獣のような存在だと思われていたソの心を溶かしていくのです(皮肉にも後半はまたスがきっかけとなり、獣のような残虐性が復活してしまう
)。
戦場で何百人(何千人?)を殺害したであろう大将軍も「人を殺める行為は、たとえ生まれ変わっても許されない業だ」と言っていたし、いつの時代も罪を感じる人間の心は同じであるという作品メッセージを感じました。
高麗シーンの冒頭でいきなり半裸の皇子たちが現れたので、眼福度MAX\(^o^)/
スが発する横文字言葉(ストレス性障害、パラサイト、ファイティン、オーケー? など)や顔文字、Goodの意味の親指などに戸惑う皇子たちとの掛け合いは、タイムトラベルものならでの秀逸コメディシーン
ソを除くと、
第14皇子のジョンがお気に入りでした
武闘派でやんちゃな末っ子が、ラストでは包容力のある大人の男に成長し、スとの関係も最後までプラトニックを貫き、血のつながらない娘を育てるナイスキャラ。
若いだけに、外見的な変化や成長も一番わかりやすく表現されていました。
なお、
未公開シーンでは、弟ではなく一人の男としてスへ告白するシーンがあったので、カットされていて残念
そのシーンがあれば、婚姻後のジョンの心理がもっと伝わったのに
なぜカットされた??
あとはやっぱり
ペガ様
このときのナム・ジュヒョク氏は、まだ俳優デビューして2年くらいでブレイク前?だと思うのですが、イケメン役の演出だったこともあり、惹きつける魅力がありますね。
あと、第3皇子のヨがずーーーっとメンチ切っている表情ばかりだったので、任侠映画やVシネのパロディのようで面白かったwww
虚勢を張っているけど実は小物っぽいところや、空回りして運のなさそうな感じが、
「梨泰院クラス」の長家長男を彷彿とさせたw(俳優さんの雰囲気も似ている)。
●第10皇子夫妻
ウンと将軍娘カップルは完全なフィクションですが、あまり記録に残っていないウンのフィクションとしてかなり見ごたえがった
ウン祖父の処刑に関しては、ヨ&ソの共謀説があるので、ソを善キャラにしたまま処刑役にした展開に納得
●ジモンと第1皇子のブロマンス
第1皇子のエピソードはあまり描かれていませんでしたが、建国にあたって皇帝やジモンとともに苦楽を分かち合った仲と想像できるので、もう少しこの2人のエピソードがほしかった。
ベンチャー企業の創業メンバー的な関係かな
そしてこの友情関係には、早くに亡くなってしまったソ兄弟の長兄がいて、本来なら彼が皇太子になるはずだったんですよね。
少年時代の2人のシーンで、ジモン役の若い俳優さんが、ジモンの話し方や表情そっくりに寄せてきたのがツボでしたwww
息をするように自然に
をポチりましたので、OSTに関しては別記事で投稿しますw
■モヤモヤ点・共感できなかった点
●日本版のビジュアルイメージが違いすぎる
ピンクでラブリーなデザインと、ヒロインがイケメンたちに囲まれているあのビジュアルで、このサッドエンディングを誰が想像できようか……。
わたしも視聴前まで、キャイキャイした軽いファンタジー史劇だと持っていました。
韓国オリジナルのほうは、ちゃんと物語の核となる皆既日食をイメージした暗いデザインになっているので、なぜこうも変わってしまったのか不思議で
実はこの件に関してはほかの作品でも常々不満だったので、今度それに関する内容を投稿したいと思います
●サブタイトルも違いすぎる
「花萌ゆる8人の皇子たち」からは、ヒロインとイケメン8人による平和なイメージしか浮かばないし、それが物語の核ではないはず……。
しかも前半からすでにヒロインとわちゃわちゃしていたのは、8人ではなく5人なんですよね
第1皇子とはアトピーの治療を手伝ったことによる信頼関係があれど、、第3は敵側の人間だから交流はあまりないし、第9とも個人的なつながりはないうえ、最後はスにとって最も憎い皇子になったはず。
この3人とは公式サイトの相関図でもヒロインとつながっていません。
●現代でも再会してほしかった
原作である中国の小説『步步驚心』では、ヒロインが生まれ変わったヒーローと現代で再会するようなので、中国ドラマ「宮廷女官 若曦」のほうは現代版の続編があるそうです。
今回ラストシーンのセリフ「私がそっちの世界に会いに行く」があったことから、本作も続編が期待されていたようですが、これだけ時間がたってしまったから、もし続編があっても同一キャストでは難しいかな。
期待外れになってもイヤだし。
だからこそ、ラストシーンで一瞬でもいいから現代に生きる光宗を見てみたかった。
●ヒロインの内面が統一されていない
現代から来たヒロインが、最初はいろいろとカルチャーショックを受けていたけど、最終的に現代人としての内面がどこまで残っていたのか、わかりにくかった。
●ヒロインとウクの始まりが不倫オーラ
一夫多妻制の時代だから仕方ないし、雪のシーンとかすごく良かったからいいんですけどね……。
●ウク夫妻の年齢差
同年齢設定なら見た目に差がありすぎだし、もし有力豪族との政略結婚のためにやむを得ず歳の差カップルになってしまったのなら、その説明や表現が欲しかった。
ただ違和感しかなかった……。
●水銀風呂の女官への影響
気になって調べたら、水銀が混じったお湯の蒸気にも毒性があるとの情報があったので、皇太子の入浴のお世話をしていたスやチェリョンへ影響はなかったのか……。
ほかに、物語への不満とは違うけど、近親婚があまりにも多すぎてハプスブルク家的なことにならないのかいちいち心配していましたが、34代皇帝とその一族は、最後は普通に(?)朝鮮王朝によって全滅させられたようなので、それまでは無事だったと理解しました。
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メイキング映像や未公開シーン映像も楽しかったし、OST円盤も購入したので、また別途投稿します(まだ書き足りないwww)
ではまた
【※追記/関連記事のリンク】