底に沈んだメダカに驚いていると、マヨがそう言った。
「本当に?」
子供の頃に飼っていた金魚が死んだ時、腹を上に浮かんでいた記憶がある。
だから死んだ魚は水面に浮かぶものだと思っていた。
しかし目の前のメダカは底に沈み、ぴくりとも動かない。確かに死んでいるようだ。
「なんでだろう…」
全てが死んだわけではない。沈んでいるのは5、6匹だ。残ったメダカは元気に泳いでいる。
「酸素がないのかな…」
そう呟いてはみたが、水槽には酸素を出す石が入っている。
魚を飼う時のグッズで、メダカをもらってすぐマヨが買ってきたものだ。
箱には一ヶ月もつと書いてあるから、二日でだめになるとは思えない。
では、水か? 水そのものが生存に適さないとか?
最初に思いついたのはカルキである。多量のカルキで死んでしまったとか?
だがそれはない。
水槽の水は水道水だが、カルキはしっかり飛ばしてある。もともとベランダで
飼っているザリガニの水換え用に用意したもので、一週間近く日光に当ててから
使っている。
さらにいうなら、水をきれいにする…というか、メダカの糞などを分解する微生物
入りの液も投入済みだ。少なくともやれる事はやってある。
「病気かな…」
そうも思った。
しかしだとすると、同じ水槽内のメダカ全てに感染している可能性がある。
…全滅してしまうかもしれない…。
そう思った。
…こんな話の後ですが、連載中の漫画があります。
ドッグライフコンシェルジェ見てくださいね。
不機嫌な犬と不器用な飼い主の話です。