カゲオたちが暮らす「シーサイドハイツ(仮名)」は世帯数200程度。
マンションとしてはそこそこの規模だろう。
…といっても、近隣に林立するマンションと比較すると、まぁ平均的なサイズでしかない。
都営・民間・超高級と、ちょっと歩けばさまざまな種類のマンションにぶち当たる界隈だ。
建築当時は周辺の中ではもっとも高く、ヘリコプターはうちのマンションを目印に飛んだとさえ言われているらしいのだが…遠い過去の栄光だ(笑)。
マンションは中庭を「コの字」に囲む格好で三つの棟に分かれており、ボクたちがいるのはもっとも大きい「C棟」だ。
前後がきれいに空けているので窓から見える夜景は悪くないのだが、闇に浮かぶ灯りは全て、他のマンション、その向こうのマンション、更に先のマンション…。神奈川に住んでいる時は想像もしなかった光景だ。
入籍の直前に引っ越してきて以来ここで生活しているのだから、入居してからはもう6年…7年目になる。
にも関わらず…。同じマンションの住民で知っている人はほんの数名。それも「見かけた」あるいは「挨拶をかわした」程度で、顔と名前が一致するのはお隣に住む人と「ワダさん」くらいだ。
マヨやむーちゃん、アトくんたちの方がずっと顔見知りは多い。
ボク自身は、このマンションの事を驚くほど知らないのだった。
<続く>
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