みんなのもの<前編>
今からもう三ヶ月くらい前の事。(記事の順番の都合でアップに時間がかかってしまった…)
近所の広場には、動物の形に切り出した石像がある。
ペンギン、カバ、オットセイ…適度にデフォルメ、適度にリアルなデザインで、広場を彩っている。
むーちゃんはその中でペンギンが大好き。
近くに見えると駆け寄って抱きつくのが習慣。
そんな時、むーちゃんは満面の笑みを浮かべる。
ある日、いつものようにペンギンに駆け寄ろうとしたら、知らない子供が先に遊んでいた。
それを見て、むーちゃん大パニック。
「むーちゃんノペンギンサン!」
泣きながら地団太を踏み、ボクにそう訴える。
公共の施設…という概念は、むーちゃんにはまだない。
自分の「ペンギンさん」が他人に使われている事が、耐えられないようだ。
ボクは説明した。
「むーちゃんのペンギンさんじゃないよ。みんなのペンギンさんなんだ。むーちゃんも使っていいけど、他の子も使っていいんだよ」
むーちゃんはボクの言ってる意味がわからないようだ。
「むーちゃんノペンギンサン!」
むーちゃんは何度も叫び、ボクは根気強く同じ説明を繰り返した。
むーちゃんは最後まで納得がいかない様子で、その子がいなくなった後ペンギンで遊んでも、表情は晴れないままだった。<続く>
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