家族苗三 93 | 日陰で絵日記

日陰で絵日記

イラスト描きとその家族の日記

 みんなのもの<前編>


 今からもう三ヶ月くらい前の事。(記事の順番の都合でアップに時間がかかってしまった…)



 近所の広場には、動物の形に切り出した石像がある。

 ペンギン、カバ、オットセイ…適度にデフォルメ、適度にリアルなデザインで、広場を彩っている。


 むーちゃんはその中でペンギンが大好き。

 近くに見えると駆け寄って抱きつくのが習慣。

 そんな時、むーちゃんは満面の笑みを浮かべる。



 ある日、いつものようにペンギンに駆け寄ろうとしたら、知らない子供が先に遊んでいた。

 それを見て、むーちゃん大パニック。







   日陰で絵日記-20090405minnanopenginsan-1.jpg


 「むーちゃんノペンギンサン!」

 泣きながら地団太を踏み、ボクにそう訴える。





 公共の施設…という概念は、むーちゃんにはまだない。

 自分の「ペンギンさん」が他人に使われている事が、耐えられないようだ。


 ボクは説明した。


 「むーちゃんのペンギンさんじゃないよ。みんなのペンギンさんなんだ。むーちゃんも使っていいけど、他の子も使っていいんだよ」


 むーちゃんはボクの言ってる意味がわからないようだ。


 「むーちゃんノペンギンサン!」


 むーちゃんは何度も叫び、ボクは根気強く同じ説明を繰り返した。





 むーちゃんは最後まで納得がいかない様子で、その子がいなくなった後ペンギンで遊んでも、表情は晴れないままだった。<続く>






 人気ブログランキングに参加中!

 1クリックお願いします。
日陰で絵日記-banener