卒業検定⑪
――雨の日はブレーキが効きにくい…。
雨と風で思ったのは、その程度の事だった。
悪天候のおかげで車通りは少なく、路上のコースで手間取る事はなかった。
かえって幸いした格好だった。
コースがうまくいったからだろう、教習所内に戻ってもミスはしていない。
検定の結果を待つ間、特に気持ちが急く事もなかった。
15分ほどして、教官が検定の計算を終えて戻ってきた。
教室には、ボクも含めて5人の生徒がいる。
「結果から申し上げます…
…全員合格です!」
あれで落ちたらもうどうしていいかわからない…ってくらい、ボクにしては上出来の走りだった。
悪天候のおかげだ。
世の中、何が災いして何が幸いするかわからないものだ。
卒業証書作成の為、2時間ほど休憩時間を与えられた後、ボク達は同じ教室に再び集まった。
…これでもう教習所に来る事はないだろう。
そう思いながら卒業証書を手に席を立ち上がろうとすると…
そこに意外な展開が待っていた。
絵日記ブログランキングに参加中!