黒いプラネタリウム | 日陰で絵日記

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イラスト描きとその家族の日記

 カゲオは折りたたみのカサをもってない。

 持ってたら便利だろうなとは思うんだけど、中学生の頃の思い出が、それを許さないでいる。

 

 

 

 

 カゲオは中学生の頃、おりたたみカサをカバンに入れてた。 

 雨が降ったら使い、使い終わったらまたたたんで中に入れてた。

 

 

 …そう、干さずに。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある時、ふいに降り出した雨に、折りたたみカサを取り出した。

 

 

 

 oritatami

 広げると、黒カビが折れ目にそってビッシリと生えていた。

 

 

 

 黒いカサに、黒カビが光沢でうっすらと光る姿は、

 


「わぁ、 ボクだけのプラネタリウムだ♪」

 

 なんて言葉も思いつかないでもなかったけど、それより吐き気の方が勝っていた。

 

 

 

 

 カゲオはそのカサを再びたたんで、ゴミ捨て場に放り込んだ。

 そして雨に打たれながら駆け出した。

 

 

 

 

 

 以来、折りたたみカサはもってない。

 だから黒いプラネタリウムも、二度と見ていない。

 

 

 

 

 

 

 

 今ではふいに雨が降り出しても、コンビニで300円出せば買えるからいいよね♪

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