手書きで文章を書く素晴らしさ | タブンダブン

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流浪のライター、かげぎすのブログ。書評、映画感想、洋楽の和訳などいろいろとやっています。

今回のテーマは、原稿の書き方についてです。

 

 

ブログを書き続けていくと、タイヘンさを上回るほどの多くの気づきがありました。

 

このブログの目的は作品の魅力を文章にして表現することにあるわけなのですが、毎度毎度、文字によって作品を語る自分自身が、文字を通して作品のすばらしさを再発見するという不思議な経験をしています。

 

ブログ記事としてアウトプットすると、頭のなかで思っていたよりもずっとその作品が面白く感じるのです。

 

つまり換言すれば、このブログのいちばんの読者が自分なのです。そんな自己循環構造のうえに成り立っているから、誰も読んでいなくてもこうして続けられるわけなのです。

 

さながら自分のクソを喰らって生き延びるネグレクト金魚。究極のエコですよ、エコ。

 

 

ともあれ、思考を表現するという意味では、ブログを書くことはほんとうに勉強になるなあと思います。

 

 

さて、あたりまえの話なんですが、文字をつかって思考を表現するには、文章をしたためる必要があります。

 

みなさんはふだんどのような方法を用いていますか? どんな道具を使って文章を作成しているでしょう?

 

たいていのばあい、僕と同じだろうと思います。

 

そう、ワープロですよね。

 

みなさんも、ガッチャガッチャとキーをたたいているはずです。国語の時間じゃあるまいし、レポート、ブログ原稿、小説、怪文書などをつくるときでさえ、手書きに頼ることは少ないのではないでしょうか。

 

そう、電子機器の発する毒電波を浴びるほど浴びた(すでに意味不明)僕たちは、だれに言われるまでもなく、文章をつくるためなかば無意識にパソコンの電源に手が伸びるわけです。

 

僕自身も、むかしから下書き・清書の区別なく、とにかくWordに書きなぐるスタイルでした。

 

……ですが、こうしてブログをほぼ毎日書くとなれば、また話が違ってきます。

 

なぜならいつどんなときでもパソコンの前に座れるとはかぎらないからです。

 

さいしょは困りました。パソコンと戯れる時間をうまくとれないことに。

スティーヴン・キングいわく、ドアを閉じた書斎でこそ執筆せよというわけなのですが、よくよく考えてみると、都合よく書斎にいれるわけではない。

 

 

はてさて、毎日文章を書くにはいったいどうしたらいいものやら。

 

 

ここですかさず、スマホやタブレットを使えばいいという発想に至るそこのあなた!

 

毒電波に冒されていますよ。

 

 

どうやら僕は汚染度が低いようなので、あるときついに、こんな方法を編み出しました。

 

なんだと思います?

 

これは、

 

【クリップボード×落がき帳】

 

 

なんです。

 

 

そうです、手書きです。僕はこれに行きつきました。

 

 

これは、いつぞやバイトをしているとき、仕事をするふりをしながらクリップボードに雑紙を挟んでブログ原稿を書いたのがきっかけです。

 

 

え? まじめに仕事しろって? 

 

 

だって仕方ないでしょう、時は金なりって言葉知らないんですか?

 

 

……そのとき僕は、クリップボードを手に持ちながら、荒々しくペンを動かして文章を書いていました。

 

するとやがて気づいたのです、あれ? めっちゃスムーズに文章がつくれる、と。

 

これまでは、あたりまえのようにパソコンで文字を打ちながら原稿を考えていたのですが、それにくらべると、手書きのほうが格段に頭の回転が速くなっていることに気づいたのです(‘’Д’’)

 

なぜでしょうね?

 

 

おそらく手書きのスゴさは、次の点に集約されるでしょう。

 

 

 

1.手書きは究極的にレスポンスがイイ

 

あくまで感覚的なことなのですが、自分の思考を表現するには、キーをたたいての文字入力では遅すぎる。いまひとつライブ感に欠ける。

 

たぶんタイピングのスピードがどうこうという問題ではないと思います。

 

パソコン入力に伴う多くの煩わしさがライブ感を損ねているのでしょう。

 

・モニタをみつめる

・完全なブラインドができない場合、ときたま手元をみる

・キーをたたく

・文字変換をする、文字変換候補からさがす

・エンターを押して決定する

・改行する

・修正するために範囲指定する

・デリートボタンを押す……

スケベな画像を検索する

 

 

などなど。

 

もうおわかりでしょう、ワープロ入力って、かなり合理的で洗練されているように思えて、【ストレスなく書きたいように書く】という点ではかなり無駄な動作が多いのです。

 

一方で手書き原稿は、

 

 

こんなかんじで、ジョブズも脱帽するほどの”直感的な操作”に長けています(ちなみにこの写真は『ノーサンガー・アビー』記事の下書き)

 

 

パソコンでの文書作成は、けっきょくのところ、ワープロソフトのルールに従って行儀よく書いているにすぎません。

 

みなさんだって、”ほんとうはこうだったらいいのに”、としばしば不満に思うことがあるでしょう。

 

でも手書きなら、そんなことはほとんどないはずです。自分の好きなように原稿をつくることができます。

 

手書きはとんでもなく自由度が高いのです。

 

そして、文章の俯瞰がしやすいというのも個人的にはGOOD。

 

モニタとにらめっこするよりも目が疲れないし、文章のまとまりをチェックしながら言葉の置き方をあれこれ変更するのも、なぜだか手書き原稿のほうがやりやすく感じます。

 

 

そういうわけで、生(なま)の思考をライブ感たっぷりに文章化するうえで手書きに勝る方法は、もはやいまでは、ほかに考えられなくなりました( ˘ω˘ )

 

だから消しゴムなんて使ったらダメですよ。不要な部分は線で消しちゃってください。

 

消した部分は、あとから使える文章になるかもしれないんです。たいせつにとっておいてくださいね。

 

 

 

いつかは、レコーダーに音声を吹き込んでそれを書き起こすというのもやってみたいなあ。

 

 

 

 

2.手書きはどこでも書斎になる

 

じっさいのところ僕は、キングの言うように、ドアを閉じた部屋だけが物書きに適した空間とは思っていません。

 

誰だって、気晴らしにカフェで書きたくなることがあるでしょう。

 

それに、とにかく部屋から出たくなる衝動に駆られること、ありませんか? 

 

ありますよね、ええ、ええ、あるはずです。

 

そういうときは、やはり外に出て、公園などでポカポカ陽気にあてられながら文章を練ったりしたくなりますよね。

 

はい、そこででましたクリップボード。

これさえあればもう大丈夫。

 

公園で書くどころか、歩きながら原稿を書くことだってできちゃいます。

 

 

ただし、通報されないように気をつけてくださいね。

 

今日び、ていうか少なくともここ半世紀のあいだ、クリップボードで小説を書きながら散歩する人間の存在は確認されていないわけですから。あまりにも怪しすぎます。

 

心配なら、スーツを着てなんらかの営業マンを装ったり、検針員に扮すればいいのです。

 

 

 

 

3.手書きは機密性にすぐれている?

 

僕の貴重な原稿の写真をみればわかると思うのですが、まあ字の汚いこと。

 

人によっては、僕の字を読めないでしょうね。

 

でも勘違いしないでくださいね、わざとやっているんですよ、わざと。

 

ほんとうですよ?

 

なぜかって、他人にみられないようにするためです。

 

あたりまえでしょう。

 

かのジョン・レノンは、わざとひどい字で作詞ノートをつくっていたのだそうですよ。

 

まあ、ジョン・レノンだとバレた時点でいまさらなにを秘密にするんだって思いますけどね。

 

 

とにかく、きれいな下書きなんてナンセンス!

 

あくまでもライブ感が大事なんです!

 

思考の流れにおもむくまま、筆を動かす。書いては消し、書いては消し……一心にそれを繰り返す。

 

気分はレヴィ・ストロース……(ストロースの原稿書き術も興味深いですよ。ぜひ調べてみてください)

 

 

いかがでしょう、みなさん。もしも“なかなか文章が書けない”、“ストレスがたまる”、“イマイチ気分がのらない”というなら、ぜひいちど、手書きで書いてみてはいかがでしょうか。

 

ワープロではけっして実現できないレスポンシビリティと、文房具に触れる心地よさ(ちょっと値段の張る高級文具を使ってみるのがオススメ)――これだけでも、書くたのしさが数倍増しになることは間違いありません。