名簿でプライバシーの侵害の章 | パワハラ被害者が在職したまま激闘

パワハラ被害者が在職したまま激闘

退職・異動せず、パワハラと奮闘する兼業主婦の記録です。
夫婦で最高裁までやって棄却されたけど戦います(しつこい)。
退場するべきは加害者です。

裁判での争点にプライバシーの侵害があった。
パワハラ部長がよくわからない理由で個人情報を所持していたからである。
会社の情報管理の体制にも問題があった。


なぜか支配者は被支配者の情報を集めて悦に入るのが好きである。
ご多分に漏れず、パワハラ部長も詳細な秘密名簿を作製し、お気に入りの部下にばら撒いた。

そしてお気に入りの部下が、会社のパソコンにアクセス出来る者ならだれでも閲覧可能なところにファイルを置くという離れ業をしてのけた。


会社のイチ部署の部長ごときが、部下の住所、電話番号、学歴、生年月日、血液型、昇進の状態などを表にして閲覧していたとしたら、皆様はどう思われるだろうか?
学歴や年齢はまだ評価のためにと言われれば、そうか?と思いつつも管理に気を付けとけよで済むかも知れない。

しかし、他の情報は安全管理のためと言われても納得できないだろう。
小規模の事故なら人事や総務が連絡先を知っているから部長が情報を持つ理由はないし、大災害で混乱した状態なら部長がそんな情報を持っていたところで対応の仕様がない。

そして、少なくとも我々(私と夫)はこのように一部の社員に面白おかしく個人情報を扱われることに同意をしていない。


詳細な個人情報は、部員だけでなく他の部の人間の分も集められていた。
数百人分である。
パワハラ部長が個人情報をどのように収集したかは不明である。
裁判では明らかにされなかった。


この名簿の存在について、私はパワハラ部長に質問をした。
録音もした。


パワハラ部長が言うには、このような個人情報満載の名簿を所持していた理由は、
「知りたかったから」
だそうである。


何故知りたいのか?と聞いたところ、
「そういう情報を持っていると、他の部の人と話がしやすくなる」
という呆れた理由が返ってきた。

話したこともない人がそんな詳細な個人情報を知っていることが気持ちいいと思いますか、とも聞いたがはっきりした回答はなかった。


さらに、なぜお気に入りの部下にばら撒いたのかを聞いたところ、部下が欲しいと言ったからと答えた。
そこにはお気に入りの部下(これまた私にパワハラをしていた上司)もいた。
彼は「どんな人がいるのか知りたかっただけで、こんな詳しいのはいらなかった」とごにょごにょしていた。


パワハラ部長作製の名簿及びこの会話の録音は裁判で提出したが、裁判所の判断は「社外に漏えいした証拠がない。社内だから個人情報を共有することに問題はない」という会社の主張をそのまま採用したものだった。
そうですか・・・。
話もしたことのない部の部長とそのお気に入りの部下たちが、詳細な個人情報を閲覧している事実はプライバシーの侵害には当たらないですか・・・。


さらに、会社は安全管理の点からも必要だった、管理は杜撰だったが漏洩していないし問題ないと繰り返し、名簿作成の正当性を主張した。
もう一度書くが、パワハラ部長が名簿を所持していたのは

「 知 り た か っ た か ら 」

である。



個人情報の件は他にも人事評価や別名簿が誰でもアクセスできる場所に置いてあるという事実を証拠入りで主張した。
名簿は数回印刷されていることも主張した。
共通パソコンは社外の人間が操作することができることも。


しかし、誰でもアクセスできる場所に置いてあっても、そのフォルダには個人名がついているから、中身を見る人の倫理観がおかしいとの主張を会社側は始めた。
他人の名前のついているフォルダの中身を見ることは禁止されていない。
見られたくないものは共通フォルダにおかないようにとの会社の教育もあった。
アクセスできる場所に置いてあるものはいくらでも見てよい、見てはいけないものは開けないようになっている、というのはパワハラ部長が言っていたことである。


この状態は組合にも訴えたが、やはり御用組合にして第二人事部である組合は、名簿に記載されている社員への通知を行わなかった。
個人情報の管理に気を付けなさいよとの通知が会社から出て、最近管理うるさいよねぇと社員たちの文句は聞こえてくる。
彼らは知らないのだ。
自分たちの情報が、一部の管理職によって面白おかしく閲覧されていたことを。


弊社的には
「誰でもアクセスできる場所においてあるファイルを見た人」が一番悪く
「個人情報をそういう場所に置いた人」はおっちょこっちょいさんで
「個人情報を収集してばら撒いた人」は悪くない
のである。


個人情報の取り扱いについて色々うるさくなっている昨今、このような杜撰な管理体制の会社がCSRを標榜しているのだからお笑いである。