諏訪 浩(災害科学) | 科学カフェ京都(特定非営利活動法人)

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◆◆ 科学カフェ京都 第106回定例会 ◆◆



日時: 2014年 4月12日(土) 2時~5時


話題: 「京都東山の山津波」


講師: 諏訪 浩 先生
(東京大学空間情報科学研究センター及び立命館大学歴史都市防災研究所 研究員 専門:地球物理学・陸水物理学・災害科学)
http://researchmap.jp/read0013228/


会場: 京都大学理学研究科セミナーハウス
http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=473
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm
(上記地図の番号10の建物です)


概要:
「2011年の台風12号は紀伊山地に大変な豪雨をもたらした。9月4日未明,和歌山県那智勝浦町では集落の裏山から津波が襲来し,住民多数が巻き込まれてしまった。山津波である。土石流は昭和40年頃まで山津波と呼ばれることが多かった。それは,海からやってくる津波,すなわち海津波の襲来のさまと似ているためだ。奈良県十津川筋では,この12号台風豪雨で大規模な山くずれ,すなわち深層崩壊がいくつも起きた。大量の土砂は足下の河川に突入して川津波を発生し,深刻な被害をもたらしている。

話の題目を“京都東山の山津波”とした。2500年前,すなわち弥生前期に起きた山津波が運び出した土砂が,この例会が催されている理学部セミナーハウス周辺の地下に埋まっていることに注目したいためである。この地を含めて京都東山の裾野は,山津波が何度も繰り返すなどして造られてきた土地でできている。

海に囲まれた山がちな土地,日本列島に住み始めて以来,我々は地震や台風など,さまざまな天変地異とともに生きてきた。たとえば,鴨 長明が方丈記に記したごとくである。描かれている天変地異と災いの惨状は,つい昨日の出来事のようにも思える。それから800年。とくに近年の経済拡大に伴う人口増加と都市化,さらには少子高齢化が,天変地異がもたらす災いを変容させている。防災・減災につなぐべく,地震や台風などの天変地異と,それらが引き起こす災害と防災・減災についての科学研究が始められて100年余り。土石流については50年余りになる。そして,防災対策のための工事が進められ,警戒避難体制が整備されてきた。

しかし,土石流による被害は後を絶たない。土石流による被災で人的被害が減らない最大原因は,我々人間だれもが備える或る種の認知バイアスにある。災難が迫りつつあるのに,このバイアス,正常性バイアスが働いて逃げ遅れる。どうすればよいか。山くずれや土石流の特徴とメカニズム,減災対策の一端を紹介しながら考えたい。」


講演資料:
http://www.kagakucafe.org/suwa140412.pdf

http://www.csis.u-tokyo.ac.jp/japanese/index.html

http://www.rits-dmuch.jp/jp/index.html