ついに入手、土肥伸 序 後藤福次郎著「ヘラ鮒釣」 | 千客酩酊

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「ただ一人を客として催す茶事」は「一客一亭」といいますが、ブログの表題は「沢山の客を酔わそう」という意味を込めた造語です。紆余曲折あって、速やかに削除されてしまうYahoo!ニュース記事のスクラップを目的としたブログとなりました。

 同書の存在を知ったのは20数年前。

 何十年も前に出版されている参考資料には、高確率で参考文献として紹介されており、あまりに古い文献であることから現存も怪しかった。

 それが十年ほど前、突然、ヤフオクへ出品される。
 当時、驚きのあまり、Tweetしたような記憶もある。

 このとき自分は後厄だったが、前厄の時に占い師から「衝動買いをしないこと」と言われて、オークションは慎んでいた。

 同書はマニアックすぎる内容だし、ヘラブナ釣りの古書研究している人間でない限り興味が湧かないだろうと、落ちないことを祈りつつヤフオクを見守っていると、何と、いきなり落札された(自分のような研究をしている人が世の中にいるとは思いもよらず、取られて悔しいやら、驚きやら、複雑な心境だった)。

 現存数が多くはないから、それっきり目にすることもなく、何年もの月日が過ぎ去った。

 ところが数日前、何気なくYahoo!のトップ画面下に映し出された、オークション推薦枠(あなたが興味を持ちそうなもの的なピックアップ)内に、そのサムネイル画像が上がる。

 画像は小さく、複数の本と一緒に並べられる形だったが、そのなかの1冊は見間違うことなく、魚拓と薄水色の波による表紙の、土肥伸氏が関わる伝説書籍だと手が震えた。

 今まで気づかず「残り12時間」のギリギリで、いきなりヤフオクの出品物として自分の前に現れ「これぞ、運命」と入札。

 今、この手中に収まった。

 

 

 経年劣化で表紙が取れてしまう恐れがあったので、到着すると即、買い置きしているブックカバーを工作して装着。
 ダメージを軽減してから、ブックカバー越しに表1と表4を撮影した。

 

大袈裟と思うかも知れないが、発行日、価格をご覧あれ。

 

昭和24年、1949年だ。

75年前の書籍である。

 

 

 同書は増田逸魚氏ら諸先輩方が、すでに参考文献として各誌で紹介されているため、もう内容は読まずとも何が掲載されているのか知っているが、読み始めると「本当に書いてあった! 」とオリジナルの凄味という物を感じられて楽しい。

 

 容赦なく、持論を展開させていただくが「レコードも書籍も、その人が初めて読み聞きするなら、それは、その人にとって新譜であり新刊」と思っている。

 オークションで落札した9冊セット中、実は4冊を持っていた。しかし5冊は、自分的に新刊だ。

 出品者は誠意ある人で送料込みの求めやすい価格で設定していたから、入札に迷いはなかったし、落札価格を5で割ったとしても、なんと結果的には10年前のオークション価格より安く入手できたことになる。

 今、興奮冷めやらぬ気持ちで、思わず喜びをブログへぶつけている。

 

 75年前、バラケエサはバラ餌と言った。

 どこかの編集者が「バラ餌はケが抜けていますね」と言ったが、その表記は「原文そのまま」であることが、これで証明できた。土肥先生はウドンの釣り人で、後藤氏は練りエサの練りは煉りと書いているし、魚信と書いて「あたり」と読ませている。

 

 総82ページ(表1と表4は除いた頁数)という束(ツカ)の薄い書籍だが、内容は深い。