追加あり!新刊『絶望図書館』の購入者特典のお知らせです! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

 

新刊『絶望図書館』が発売になりました!

 

http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480434838

 

 

 

早速、購入者特典の配布を開始したいと思います!

 

購入者の方でしたら、どなたでも、全員お受け取りいただけます。

 

※11月13日(火)追記あり

購入者特典に追加があります!

いちばん下のところの「購入者特典(2)」をご参照ください。


 

購入者特典(1)

 

お手数ですが、

こちらからダウンロードをお願いいたします。

http://firestorage.jp/download/f2b90ed843d8b52991e104257d156dbe98b30624

 

パスワードが必要です。

 

2回まばたきをしたら、どういう意味でしょう?

それを英語にしたものがパスワードです。

 

といっても、意味不明だと思いますが、

『絶望図書館』のp.123の後ろから3行目をご覧ください。

そこに答えが日本語で書いてあります。

それを英語にしてください。難しくはありません。

3文字です。すべて小文字で入力してください。

それがパスワードです。

 

朗読「瞳の奥の殺人」.zip

というファイルがダウンロードされます。

これを解凍してください。

 

そうすると、

朗読「瞳の奥の殺人」

というフォルダーになり、その中に、

瞳の奥の殺人−1.mp3

瞳の奥の殺人−1.mp3

瞳の奥の殺人−1.mp3

という3つのファイルが入っています。

 

これが今回の購入者特典です!

 

ファイル名にある通り、朗読です。

 

『絶望図書館』の中に入っている短篇のひとつ、

ウィリアム・アイリッシュ『瞳の奧の殺人』

全文の朗読です。

 

再生時間は、全部で1時間50分あります。

 

朗読者は、

ネットで朗読を発表しておられる日根敏晶さんです。  Twitter @hinerdio  YouTube https://www.youtube.com/user/kabosum

青空文庫の入力ボランティアもしておられる方です。

 

……

 

今回、どういう購入者特典にしようか悩んだのですが、

「そうだ!朗読にしよう!」と思いつきました。

私は、朗読というものがとても好きです。

きっかけは、目を病んで文字を読めなくなった時期があったからなのですが、

目が治ってからも、毎日、食後には朗読を聴いています。

文学を目でしか読まないのは、もったいないとすら思っています。

 

ただ、朗読は、著作権の切れたものしかできないので、かなり限られます。そこが残念なところです。

有料のオーディオブックなら、新しい作品もありますが、点数はかなり限られています。

 

そのため、私がこれまで訳したり書いたりした本は、すべて、無償朗読に関しては著作権フリーとしております。

自由に朗読してください、ということです。

 

今回はさらに、こちらのほうから、

新訳の朗読音源を読者の方々にプレゼントさせていただこうと思った次第です。

 

幸い、訳者の品川亮さんにはご快諾いただけました。

 

朗読者は、最初から日根さんにお願いしたいと思っていました。

日根さんは、カフカの『城』とか、吉川英治の『三国志』とか、他の誰も挑戦しない大物に挑んで、

見事に全文朗読しておられる方です。

その音源のおかげで、

私はどれほど楽しませていただいたかしれません。

とてもお人柄のいい方で、それが朗読にもにじんでいます。

 

その日根さんにもご快諾いただけて、

こうしてお届けできることになりました。

 

朗読というのは、なにしろ他人の声ですから、

最初はとても違和感のあるものです。

ですが、聴いているうちに、だんだんなじんできて、

作品の世界に入っていけます。

日根さんの朗読は、とてもいいです。

 

これをきっかけに、

「朗読って、なかなかいいものだなあ」

と思ってくださる方が、少しでも増えたら、

とても嬉しいことです。

 

なお、翻訳モノというのは、

残念ながら、たいてい朗読に向きません。

耳で聴くだけでは、わけがわからないのが普通です。

しかし、今回の品川さんの新訳は、

朗読に耐えうるものだと思います。

そこまでの訳にしてもらえたという喜びが、

購入者特典を朗読でという案につながっています。

朗読によって、翻訳のよさを、

ますますじっくり味わっていただけると思うのです。

 

 

後先になりましたが、

まだ『絶望図書館』を購入してない方もおられるでしょうから、

ウィリアム・アイリッシュ『瞳の奧の殺人』について、

少しご紹介しておきましまう。

 

※途中までストーリーを書いているので、

 先に読みたい、聴きたいと思われる方は、

 以下はお読みにならないでください。

 

 

 

 

 

主人公は全身麻痺で車椅子で生活しているおばあちゃんです。

口をきくこともできません。

でも、耳は聞こえますし、目も見えます。まぶたも動かせます。

おばあちゃんは、息子の嫁が、愛人といっしょに、

息子を殺そうとしていることを知ります。

それをなんとか息子に伝えようとするのですが、

動けないし口がきけないので、なかなかうまくいきません。

嫁も巧みに邪魔をしてきます。

今夜、息子が殺されることがわかっていて、

その最愛の息子が今、目の前にいて、

やさしい目でこちらを見てくれているのに、

自分には何もできない……。

このせつなさ、もどかしさは、アイリッシュ一流です。

 

息子は殺されてしまい、

誰も嫁を疑いません。

嫁は、いい人のふりをして、

おばあちゃんの世話を続けます。

自分の息子を殺した相手に世話をされるという苦しみ。

嫁が世間に対して善人としてふるまうために道具にされてしまう怒り。

息子を助けるどころか、復讐さえしてあげられない悲しみ。

このままいつか嫁に自然死に見せかけられて殺されるという絶望感。

 

この設定を最初に読んだときには、

すごいことを考える人がいるものだと驚きました。

たしかに、これほどもどかしく、つらいことはありません。

 

さて、この続きがどうなるかは、さすがに伏せておきましょう。

 

私は、なんだかせつない気持ちになると、

アイリッシュが読みたくなります。

 

アイリッシュの作品には、

弱者への深い共感と、

あたたかな優しさがあります。

当人も、弱さと優しさを持っていた人なのでしょう。

 

人生のほとんどを、

母親と2人きりで、

ニューヨークのホテルの最上階の部屋で、

誰にも会わずに過ごし、

葬儀には5人しか参列者がなかったそうです。

今なら「ひきこもり」ですまされてしまうのでしょうが、

そういう概念のなかった昔、

彼の心情はいったい、いかなるものだったのでしょうか……。

 

 

 

 

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●購入者特典2(11月13日追加)

 

購入者特典をもうひとつ追加できることになりました!

 

お手数ですが、

こちらからダウンロードをお願いいたします。

 

http://firestorage.jp/download/d6e335bcc74380b6ef5a7b9fd14a0a706b4d4603

 

パスワードが必要です。

『絶望図書館』の208ページをご覧ください。

1行目の最初の3文字を、ローマ字にしてください。

それがパスワードです。

 

ローマ字が苦手な人はこちらをどうぞ。変換してくれます。

https://lazesoftware.com/tool/hepburn/

(208ページ1行目の最初の3文字は、漢字とひらがなが混じっていますが、このサイトで変換するときは、すべてひらがなで入力なさってください)

 

ダウンロードすると、

『絶望図書館』購入者特典(2)「虫の話」序文.pdf

というファイルがあらわれます。

 

どういう内容か、簡単にご説明させていただきます。

 

『絶望図書館』には「虫の話」という短篇小説が入っています。

「あとがきと作品解説」でもふれましたが、

「虫の話」を原作として、

「シークレット・サンシャイン」という映画が作られ、

カンヌ国際映画際で賞をとりました。

 

その「シークレット・サンシャイン」の公開にともなって、

原作の「虫の話」の特別バージョンも刊行され、

それには著者自身による序文がついていました。

著者自身が作品について語っていて、とても興味深いです。

 

その全文を今回、斎藤真理子さんが訳してくださいました。

「あとがきと作品解説」でも引用したかったのですが、ページ数の関係で無理でした。

そこで、購入者特典とさせていただいた次第です。

 

「虫の話」を読んで、「なぜこれが『虫の話』なの?」と不思議に思われた方も少なくない思います。私も思いました。

その答えもここに書いてあります。

 

この序文もまた、作品同様に、

衝撃的で、とても素晴らしい内容なので、

ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。

 

※この序文は、作品の重要なポイントにふれているので、先に作品を読んでから、その後でお読みください。

 

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※ダウンロードがうまくいかないとか、

本を買ったんだけどパスワードがよくわからないとか、

その他、何かお困りのときに、

こちらまでメールをいただけますと幸いです。

 

kashiragibonustrack頭squall.dti.ne.jp

(「頭」のところを半角英字の@に変えてください)

 

もしよかったら、ご感想も、

このメールアドレまでお寄せくださると嬉しいです。

 

どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>