新刊が出ました!
『絶望図書館』ちくま文庫
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480434838
今回は、アンソロジー(いろんな作家の短編が集めてある本)です。
おかしなタイトルですが、
いったいどういう本なのか、
まずは「まえがき」をご覧ください。
そういう命綱がないままというのは、
とてもあやういことだと私は思うので、
あまり読書好きではない人たちにも、
まだ絶望していないうちから、ぜひ読んでもらいたく、
なるべくとっつきやすく、読みやすいものにしたつもりです。
なにしろ、私自身が、もともと活字嫌いで、
本を読むのが面倒で仕方ない人間なので、
その点はよく配慮したつもりです。
海外文学の新訳も、
第1回日本翻訳大賞を受賞された斎藤真理子さんと、
この本が翻訳家デビューとなる品川亮さんのご協力で、
翻訳モノとは思えない読みやすさになっています。
(私もカフカを一作、新訳しています)
ふりがなも多めにふってありますから、
中高生でも大丈夫です。
ぜひお気軽に手にとってみていただければと思います。
……
本の中身は、
図書館に見立ててあって、
章立ては「第一閲覧室」「第二閲覧室」……「閉架書庫」というようになっています。
目次は、次の通りです。
最初の「第一閲覧室」の扉です。
すべて作品に「○○という絶望に」というのを付けてみました。
そういうのは、よけいなことかもしれません。
ただ、アンソロジーというのは、
知らない作家の作品がたくさん入っているわけで、
タイトルと著者名だけでは、
内容もわかりませんし、
好みかどうかもさっぱりわかりません。
そこで、少しでもとっかかりになればと思いまして。
また、実際、そういうときに読んでいただければ、
たんなる「文学作品」というよそよそしくものとしてではなく、
切実な自分だけの物語として読めるはずです。
実体験から選んでみました……。
ご覧の通り、さまざまなジャンルの作品が集めてあります。
児童文学、SF、エッセイ、ミステリー、口承文学、現代文学、韓国文学、日本文学、アメリカ文学、イギリス文学、ドイツ文学、マンガと、さまざまなジャンルから、これぞという作品を選りすぐりました。
海外文学は、一作を除いて、すべて新訳です。
(一作だけは天才的な訳なので、あえて新訳しませんでした)
内容面でも、絶望的な話もあれば、笑える話もありますし、せつない話、とんでもない話、どきりとする話など、さまざまです。
しかし、どれも、
倒れたままのときに読むと、心にしみるものばかりです。
……
私は、本の最初と最後に何か言葉を引用するのが大好きで、
今までの本でもずっとやってきましたが、
今回もやっております。
まずは、巻頭の言葉です。
太宰治です。
そして、巻末の言葉です。
カフカはやっぱり、いいこと言ってくれます。
……
私にとっては初めてのアンソロジーです。
アンソロジーの選者になりたいというのは小さい頃からの夢で、今回それをかなえることができました。
「アンソロジー」という言葉を聞いたこともないし、
読んだこともないということも多いかもしれません。
アンソロジーというのは、
いわば「お試しセット」です。
知らない作家の本を試しに1冊買ってみるというのは、
なかなか冒険です。
アンソロジーなら、いろんな作家を一度に試すことができます。
もしかすると運命の出会いがあるかもしれません。
今好きな作家の大半を、私はアンソロジーで知りました。
もしアンソロジーがなかったら、知らないままの作家が多かったと思います。
それはとってもこわいことで、
私はアンソロジーというもの自体にとても感謝しています。
なので、自分でも編んでみたいと思ったのです。
私は、今回の私の本に限らず、
もっとアンソロジーというものが見直されて、
たくさん出るようになるといいなーと思っています。
今回の本がその一助となれば幸いです。
……
すっかり長くなってしまいましたが、最後にもういくつか。
この本は、
単行本の文庫化ではなく、最初から文庫での刊行です。
アンソロジーは「お試しセット」ですから、
なるべく手にとりやすく、安いほうがいいと思ったからです。
先にも書きましたように、
今回は、海外文学の翻訳を、
第1回日本翻訳大賞を受賞された斎藤真理子さんと、
この本が翻訳家デビューとなる品川亮さんにお願いすることができました。
斎藤さんの翻訳の素晴らしさは言うまでもなく、
品川さんの翻訳もじつに見事で、これから有名になっていかれることと思います。そのデビュー作になれたのは、とても光栄なことです。
装丁は、川名潤さんです。
本文デザインもやっていただきました。
とてもいい装丁にしていただいて、感謝しています。
ちなみに、表紙の写真は、
私がお願いして使っていただいたもので、
空襲で破壊されたロンドンの図書館です。
そういうときでも、人は本を読みに集まってくるんですね。
その様子を撮影した、当時の報道写真です。
……
この本には購入者特典があります!
こちらをご参照ください→
https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/entry-12327287213.html
以上です。
すごく長くなりました。
最後までお読みいただいて、ありがとうございました!
どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>