ポーのヴィジュアル・ストーリー『ポー 怪奇幻想集 1 赤の怪奇』『2 黒の怪奇』! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

『ポー 怪奇幻想集 1 赤の怪奇』
『ポー 怪奇幻想集 2 黒の怪奇』

をご恵贈いただきました。


ヴィジュアル・ストーリー ポー怪奇幻想集 1: 赤の怪奇/原書房

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ヴィジュアル・ストーリー ポー怪奇幻想集 2: 黒の恐怖/原書房

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エドガー・アラン・ポーは大好きです。
じつは最初は、
化け猫ものとかを書いている、ただの怪奇作家と思い込んでいて、
ぜんぜん読んでいなかったのですが、
安部公房の影響で読むようになりました。

以下、安部公房のポーに関する言葉です。

「ポーは、ぼくに書こうという気を起こさせた最初の作家でした。十五歳ごろのことです」

「何の影響で文学に関心をもったかというと、エドガー・アラン・ポーなんですよね」

「ルイス・キャロルはとても好きです。
 エドガー・アラン・ポーの次ぐらいに」

「アンデルセンの童話が単なる教訓を越えて子供を魅了するのと同じしかたで、
 ポーは大人をひきつけるのです。
 僕はポーをやはり、時代に生きた作家だったと思うのです。
 カフカ同様、ポーを理解出来なければ、
 短編小説の意味を解く手掛りも本当にはつかめないのではないか」

そんなスゴイ作家なのかと、
驚いて読んでみると、
たしかにとても面白くて、
読みもせずに、思い込みで好き嫌いをしてはいけないと、
肝に銘じたものです。

さて、今回のこの2冊は、
ヴィジュアル・ストーリーになっています。
つまり、たんなる短編集ではなく、
イラストがふんだんに用いられていて、
文章とイラストの配置もこっていて、
大人のための絵本というか、
絵と文章の相乗効果で、
また新しいポーの世界を提示しています。

こういう本は、
ポーの世界への、新しい入り口として、
そうでなければポーを読まないままに人生を終わったかもしれない人たちを、
たくさん誘い込んでくれるものと思います。

翻訳は、金原瑞人さんです。
「今までとはまた違う文体でポーの短編や詩を訳してみた」とのことです。
訳文も新たな楽しみとなっています。

チラシに引用されているポーの言葉も素敵です。

「昼間も夢をみる人は、
 夜しか夢をみない人が見落とす
 多くのことに気づいている」