田中真知さんの「コンゴ・アゲイン!」が美しいけれど怖すぎる! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

アフリカ旅行の道祖神が発行している、
「DoDoWorld News」の145号の特集が、
作家・翻訳家の田中真知さんの写真と文章による、
「コンゴ・アゲイン!」



道祖神に電話すれば無料で送ってくれるということです。

内容は、
コンゴ河(旧ザイール河)を丸木船で下った旅についてなのですが、
その写真はあまりにも美しく、
その旅の様子はあまりにも怖いです。

出だしから、もう普通ではありません。
「(コンゴの)東部では焼き打ちや虐殺、レイプがいぜんとしてつづいていた」
「(ネットを見ると)そこに語られるコンゴの状況は読んでいて気が重くなるものだった」
となると、行くのをやめるのが当然だと思ってしまいますが、
「キンシャサへ飛んだ」
と続きます。

「それでもあの大河をふたたび見られれば、それで十分だと思い」
ということなのですが、
いくらキレイな景色でも、命あってのものだねです。

私は、命がおいしですし、臆病ですし、すぐに不安になり、激しく心配し、
潔癖症で、神経質で、つねに快適さを求めるので、
そもそも旅行自体が好きではありません。
「家にひきこもることは、
 いちばん面倒がないし、
 なんの勇気もいらない。
 それ以外のことをやろうとすると、
 どうしてもおかしなことになってしまうのだ」
というカフカに大いに共感する人間です。

なので、危険なところに旅をする人というのは、
対極にある存在です。
それだけに、尊敬しますし、ひきつけられます。
旅行は嫌いですが、旅行記は好きなのです。
書を捨てて旅に出る人もいれば、
書でしか旅をできない者もいます。

さて、田中さんは、キンシャサでシンゴ君という、
これまたスゴイ人と出会います。
なにしろ、
「コンゴ河を下ってみない?」と田中さんに言われて、
「いいですねえ」と即答する人です。
治安の問題があって、当時キンシャサに滞在していた日本人で、
コンゴ河上流に行ったことのある人はほとんどいなくて、
情報もないというのに……。

そこからこの2人の道中記が始まるのですが、
危険につぐ危険です。
たしかにコンゴ河の写真は美しく、
漁の様子も面白そうで、
子供たちや人々の様子も生き生きしています。
でも、危険。
私にはとても信じられません。

詳しくはぜひ記事をお読みいただきたいです。

また、
現在、コンゴの旅の話を本にまとめておられるところだそうです。
出版が楽しみです!

旅の様子は、
田中さんのブログでも知ることができます。
驚き満ちたブログです。
王様の耳そうじ

田中さんとはFacebook友達で、
私の本のこともブログに書いてくださっているのですが、
こんなスゴイ方が、
なぜひきこもりの私の本に興味を持ってくださるのか、
いまだに首をかしげているのです。