なぜゲーテとカフカなのか?(4)「間の本」『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

以前に『絶望名人カフカの人生論』という、
絶望の名言ばかりを集めた本を出したときに、

ポジティブな名言集はもともとたくさんあるので、
「これで明暗そろった」と思っていました。

しかし、
「自分は今、どん底から上昇しようともがいているところです」
という方からいただいたメールを読んで、なるほどと思いました。

絶望しているときには、絶望の言葉のほうがいい。
希望を感じているときには、希望の言葉がいい。
でも、
絶望から希望をつかもうとしている人、
あるいは逆に、希望に満ちていたけど、少し疲れてしまった人、
そういう、明暗の途中にいる人こそ、
本当はいちばん多いのかもしれません。


そして、そういう「間の本」というのは、ありません。
ポジティブな本と、ネガティブな本だけでは、
階段の一段が数メートルもあるようなもので、
うまく上がることも下りることもできないかもしれません。

希望と絶望の「間の本」があってもいいのではないかと思いました。
ゲーテが希望を語り、カフカが絶望を語り、
読者の皆さんがそれぞれに心に響く言葉を見つけていっていただく、
そんな本が。

そう思って編んだのが、今回の本です。





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