なぜゲーテとカフカなのか?(3)大樹×根につまずく『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

境遇がとてもよく似ていて、
それなのに、
性格が正反対のゲーテとカフカ。

そして、ゲーテとカフカのいちばんのちがいは、
明と暗、
ゲーテは希望の人であり、カフカは絶望の人であるということです。

「ゲーテは、すくすく伸びて天に達し、
 世界を芳香で満たしている大樹のようなもので、
 その作品は黄金の実となって、
 無数の星のように空に輝いている」

と詩人のハイネは讃えているそうです。

ゲーテ当人も、

「人生の黄金の樹は緑に繁っている」

と書いています。

一方、カフカのほうは、

「たえず絶望的に道に迷い……
 どうやらぼくは、樹の根につまずいて倒れ、
 いつまでも倒れたままということになるらしい」

と自分で書いています。

恋人のミレナにも、

「フランツは生きることができません。
 フランツには生きる能力がないのです」


と言われてしまっています。

ゲーテの希望もカフカの絶望も極端です。
どちらも笑ってしまうほど。
その点では共通しています。





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