それなのに、
性格が正反対のゲーテとカフカ。
そして、ゲーテとカフカのいちばんのちがいは、
明と暗、
ゲーテは希望の人であり、カフカは絶望の人であるということです。
「ゲーテは、すくすく伸びて天に達し、
世界を芳香で満たしている大樹のようなもので、
その作品は黄金の実となって、
無数の星のように空に輝いている」
と詩人のハイネは讃えているそうです。
ゲーテ当人も、
「人生の黄金の樹は緑に繁っている」
と書いています。
一方、カフカのほうは、
「たえず絶望的に道に迷い……
どうやらぼくは、樹の根につまずいて倒れ、
いつまでも倒れたままということになるらしい」
と自分で書いています。
恋人のミレナにも、
「フランツは生きることができません。
フランツには生きる能力がないのです」
と言われてしまっています。
ゲーテの希望もカフカの絶望も極端です。
どちらも笑ってしまうほど。
その点では共通しています。
希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話/飛鳥新社

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