『かでなの民話』発刊! 嘉手納の民話一冊に 309話収録! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

沖縄県の嘉手納の民話が、
1冊にまとまりました。
『かでなの民話』という本です。


新聞記事 嘉手納の民話一冊に 309話収録、副読本も製作へ

画像です


1993年頃、
沖国大の故・遠藤庄治名誉教授の研究グループが
町内のお年寄り113人から1089話を聞き取りったものを、
編集委が5年間かけて、聞き取り時に録音した音声を聞き直して選抜、編集した
とのことです。

この遠藤庄治名誉教授による
沖縄の民話の聞き取りというのは、
とてつもなく貴重なものです!

沖縄本島だけでもなく、
沖縄の離島でも行われています。
1万3000人ものお年寄りから、
約7万話も聞き取りを行ったとのこと。
そのテープが残されています。

今のお年寄りは、この頃に比べると、
もうあまり民話を知らないそうです。
民話が消えていく、
その寸前に、
たくさんの民話の記録を残してくださったわけです。
じつにありがたいことです。

沖縄の民話には、
その後、本土に伝わって、
いわゆる日本の昔話となったものがたくさんあります。
いわば、昔話の原型、モトが、ここにはあるのです。

ごつごつした石が、川を下っていく間に、
かどがとれて、つるつるになっていくように、
今では洗練されてしまった昔話も、
沖縄にはまだ古い形で残っていることがあり、
それらのごつごつした物語の面白さといったら!
たまらないものがあります。
油抜きされる前の、物語の力強さ、
矛盾があったり、筋が通らなかったするところもあるけれども、
だからこそ、なおさら面白い物語。

物語好きの人には、
沖縄の民話はとてもおすすめです。

今回の『かでなの民話』の入手方法ですが、
嘉手納町立図書館に、
定額小為替1000円(本の定価。冊子かと思ったら、とても立派な装幀の本です)と、
切手450円を同封して、
郵便で送れば、
本を郵送してもらえます。

ただし、発行部数が500部という少部数なので、
在庫を電話で、
嘉手納町立図書館に確認されてからのほうがいいと思います。

なお、
遠藤庄治名誉教授の指揮による、
民話の聞き取り調査は、
宮古島でも実施されており、
それらが、
来年には2冊の本にまとまる予定だそうです。
とても楽しみにしているところです。