1883年7月3日、カフカは誕生しました。
長男です。
その後、次男、三男も生まれるのですが、
いずれも幼くして亡くなっています。
妹も3人生まれ、
こちらは元気に成長しました。
家庭の中で、男性は、
父親とカフカだけでした。
30歳の誕生日に、
カフカはフェリーツェに手紙を書いています。
「ぼくは自分が幸福だとは言いません。
あまりに多くの不安と心配を持ち、
もともと人間的幸福は全く不可能なのかもしれません。
(中略)
ぼくが最初の晩から結ばれていると感じたあなたと、
全く完全に結ばれることになるという出来事は、
ぼくには本当に見通しのつかぬことであり、
ぼくはそれに対し目を閉じてあなたの胸にすがりたい気持です」
日記のほうで目立つのは、自分の誕生日のことよりも、
父親の誕生費についてです。
「父の誕生日の前夜。
新しい日記帳。
それはいつもほど重要でない。
ぼくは自分を不安にする必要はない。
すでに十分に不安だからだ。
しかしどんな目的のための不安なのだろう?
その目的はいつやってくるのだ?
どうしたら一つの心が、あまり健康とは言えない心が、
これほどの不満とこれほどひっきりなしに引っぱる欲求とに耐えられるのだろう」