カフカの『変身』はどんなふうに書き始められたのか?(フェリーツェとの出会い) | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

昨晩の「100分de名著」の
カフカ『変身』の1回目は、
面白かったですね。

島津アナウンサーがさまざまな疑問をぶつけ、
川島先生がそれに明快にお答えになって、
伊集院さんが共感をこめて、意外な意見を発するという、
バランスのとれた番組だったと思います。

アニメはどうするのかと思っていたら、
虫目線で作ってありましたね。
番組の中でも出てきていましたが、
カフカは『変身』が本になるとき、
「絶対に虫の絵を描かないように」と
強く要望しているので、
アニメに虫を出さなかったのは、
とてもよかったのではないかと思います。

『変身』を映像化するなら、
虫目線にするか、
ロシア版の映画のように、
人間のまま虫のようにふるまわせるか、
どちらかしかないでしょうね。


さて、せっかく『変身』が話題になっているところなので、
『変身』がいったいどのようにして生まれたのかということを、
番組や番組テキストとかぶらないように気をつけながら、
ちょっとご紹介していこうかなと思っています。

「ここでひとつ、大切なことを確認しておきましょう。
『変身』を書いたとき、カフカは実生活において何をしていたのか、
 という点です。
 じつは彼は、恋をしていました。
 この小説を、カフカは恋をしながら書いたのです」
(『100分de名著 カフカ 変身』川島隆より引用)

カフカ『変身』 2012年5月 (100分 de 名著)/著者不明

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かぶらないようにと言っておきながら、
いきなりテキストから引用してしまいましたが、
このフェリーツェという女性の出会いは、
どうしても欠かせません。

フェリーツェとの出会いによって、
数々の名作が誕生することになります。
『変身』もそのうちのひとつです。

恋をしながら、
その昂揚の中で、
虫になって、家族にリンゴをぶつけられて、
それが身体にめり込んで腐って、
死んで、ゴミのように片づけられる、
なんて小説を書けるところが、
さすがにカフカですね。

フェリーツェとの出会いや、
彼女がどういう女性であるかなどは、
テキストにも書いてありますし、
(『絶望名人』でも書きました)
2回目の放送でも取り上げられるのではないかと思うので、
そちらをご覧いただければと思います。

出会った後、カフカにどういう変化が起きたのか、
それを次回のブログでご紹介してみたいと思います。
カフカらしくないことが起きるのです。