そこにうっそうと緑が茂っているところが素晴らしいです。
いまはやたらとムダをなくそうとしますが、
こういうムダほど大切なものはないと思っています。
私もそういうところを選んで、
住むところを決めました。
ところが、今朝、ドアを開けると、
目の前で、その自然が潰されていました。



ブルドーザーが木をなぎ倒し、草を引っこ抜いています。
木がブルドーザーに倒されるところを、
初めて目の当たりにしました。
少なくとも何十年、もしかすると百年以上生きてきたかもしれない木が、
メキメキとすさまじい音を立てて、死んでいきます。
こんなに衝撃的なものかと驚きました。
ここには生き物もたくさんいました。
鳴き声がうるさいほどで。
それらも潰されていきます……。
こんなことは、
どこでも起こっているのでしょうし、
いまさら何を騒いでいるとだと思われるでしょう。
箱入り娘でもあるまいし、というところです。
まして、本の紙のもとは木なのですから……。
私が住んでいるところも、こうして建てられたにちがいありませんし。
しかし、牛や豚を平気で食べている人でも、
目の前で屠殺されると、
これはショックだと思いますよ。
しかも、ここはもともと、
ゴミなどを捨てる人がいて、
ところどころ、植物が生えない場所もありました。
それを一年くらいかけて、
ゴミを拾い、キレイにして、
そうしたら最近、冬であるにもかかわらず、
その場所から、草が芽吹いてきて、
小さくてキレイな花を咲かせるようになったのです。
どんなに嬉しかったか。
カタツムリなどの小さな生き物も、
そこに生息するようになって、
それを踏まないように気をつけながら、
さらにゴミを拾ったりしていました。
それも何もかも、
一瞬にしてパァです。
生かすことの時間のかかるのに対して、
殺すことのなんと早いこと……。
人の土地ですから、
何も言えません。
でも、土地を占有するって、なんなのでしょうね。
夏目漱石がこんなふうなことを言っていました。
「もし空のここからここまではオレのものなんて言ったら、
みんなバカバカしいと思うだろうに」
これが壊される前の状態です……
もう二度とは見られません。

