なぜだか気分が暗い。
まったく、気分というやつは、
たえず下からあおいでいないと、
浮かんでいてくれない風船のようだ。
あおぎ疲れれば、
そこに追い打ちをかけるように、
ゆっくりと目の前に下がってきて、
足元へと落ちていく。
あわててあおごうとしても、
上からあおいだのでは、
ますます下がっていくばかりだ。
それにしても、
10のいいことがあっても、
1の悪いことで台無しになってしまうのは、
なんとかならないものか。
逆であったら、いいのだが。
こういうときは、
カフカの日記を読むに限る。
「ぼくは自分を不安にする必要はない。
すでに充分に不安だからだ」
「ぼくの生涯が足踏みだったこと、
せいぜい虫歯を悪化させるような意味での発展しかなかったということ」
「ただ息ができるというだけで満足して、
そっとどこかの片隅に立っているべきだろう」