前に、
「ノーベル章をとったときに、
ピンターの本がもっと出てほしかった」
と書きましたが、
ル・クレジオがノーベル章をとったときに
期待していたのが、
『発熱』という本の復刊でした。
でも、ついに復刊されませんでした……。
『物質的恍惚』は文庫で出たのに……。
私は、ル・クレジオでは、
『発熱』がいちばん好きです。
読んだのはもうずいぶん前で、中学か高校のときですが。
短編集ですが、
ばらばらな話が入っているわけではなく、
すべて、
歯痛とか、発熱とか、
そうしたささいな生理的な苦痛がきっかけで、
だんだんと世界が崩壊していきます。
哲学的な悩みではなく、
生理的な苦痛から始まるところが、
意外でしたが、
すごく納得もできて、
ハマりました。
この説明で、
少しでも「なんとなく面白そう」と思った人には、
たぶん面白いと思います。
発熱 (1970年)/ル・クレジオ
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