夫の手術 | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

【注意】男性のシモの話題を含みます。

     苦手な方は回避推奨です。

 

 

夫が「座っているとタマが痛い」と言い出したのは2年前。

場所が場所なので素人判断で泌尿器科へ行ったけれど、

どうも改善の気配が見られません。

困って私の主治医に相談したら紹介状を書いてくれて、

病院を3カ所巡ってようやく診断が出ました。

 

「せいさくじょうみゃくりゅう、なんだって」

はい?なんとおっしゃいました?

字面は精索静脈瘤、見た通り精巣の近くの静脈に瘤がある。

男性の15%に認められ、痛みが出ることは稀。

血流の悪化に伴い精巣の温度が上がるので、

不妊治療としての手術が主だとか。

不妊男性の40%はこの疑いがあるという数字も見ました。

なんだか夫婦で共通点のある病気だなぁ。

 

症例としては多いので手術も手慣れた先生が担当してくださる。

ただ術後、痛みが減らないケースが少ないけれどあると聞いた

今回が初めての手術の夫、この点が気になってナーバス。

 

「ねえねえ、やっぱり今のうちにしちゃった方がいいよね?」

そうね、今割と時間もあるし暑くも寒くもなく

タイミングとしては悪くないのでは。

「でももし痛みが引かない10%の方に入っちゃうんだったら

手術しても無駄だよね?」

どの手術でもそういう可能性は多かれ少なかれあるし、

手術に踏み切るほど辛いかどうかは残念ながらご本人が

判断するよりないのよ、不安な気持ちはいくらでも聞くけど。

「……かのこ、こんな軽い手術で大げさって思ってる?」

どんな手術も不安だもの、仕方ないよね。

部分麻酔と全身麻酔、切開2㎝と11㎝、

血管縛るのと内臓取り出し、入院期間3日間と11日間。

違いはたくさんあるけど、まあ手術が嬉しい人はいないですし。

「やっぱり!ごたごた言ってんじゃないって思ってる!」

思ってないってば。

むしろ伴侶が重い手術をする方がよっぽど心配でイヤですよ。

 

そんなやりとりが術前に何度かあって、夫には珍しいことでした。

もちろん手術は不安だし、男性特有の恐怖感もありそう。

一方の私も簡単な手術と言われても、

家族の手術は自分の時とはまた違った心配があるものですね。

シビアな病気や手術だったら耐えられるのか自信がありません。

 

そして今病院はとっても大変。

夫が手術して頂いた病院は

コロナの患者さんを受け入れているところでした。

もちろんお見舞い禁止、術中付き添いの日も病室に入室も禁止。

夫に頼まれたものを持っていっても自分で渡すことができなくて、

それを看護師さんがわざわざ病室へ渡しに行ってくれるのです。

こんな調子で「しなければならないこと」が増えているのでは

現場はすごく疲弊しているはず。

それなのに手術中待合室で待っているときに、

「いろいろ人手が足りなくて……お待たせしてすみません」

と看護師さんが声をかけてくださって。

いやもう!謝らないでください!謝り(感謝し)たいのはむしろこちら。

クレーマー対策なのか先手を打っての発言なのかもしれないけれど、

素人目にも分かるほどなら実情は如何ほどかと涙が出ます。

実働している医療従事者の方たちの環境、よくなってほしい。

 

入院している側も我慢が多そうです。

私が待合室にいる間にも患者さんが電話するためにちらほら。

通常ならばお見舞いの人が来てくれる気分転換があるのに、

そうもできないせいか長電話のお方がたくさんいました。

期間が長くなるほど大人でさえ辛い病院暮らしなのだから、

今入院している子供たちは寂しくて心細い思いをしているはず。

本当に一切合切早くどうにかなってほしいです。

 

たった3日の入院だった夫はありがたくも滞りなく退院しました。

麻酔の後の体調が不安だったけれど、

自分で荷物を持ってすこすこ歩いて待合室に現れたので拍子抜け。

前日手術室から出てきたときにちょっと話しただけなので、

私としては相対的な体調が心配なのだけれど……。

 

「あのね!尿管を!出すときが!痛いの!すごく!」

第一声がソレ?報告の優先順位おかしくない?

「だってあの……穴からあんな大きなものが出てくるなんて!

びっくりして!そんなもの入れてたのかって!」

その衝撃は申し訳ないけど心の底からは同調できないのよ。

あなたが私の子宮筋腫の手術を理解しがたかったのと同じね。

 

それにしても男性の生殖器関連の痛みへのデリケートさは

女性には分からないほど強烈みたいですね。

その後の夫は映画などでお産の場面を見るたびに、

「尿管だってあんなに痛いんだもんね?

赤子が出てくるなんて想像を絶する……。

おかあさんってみんなすごいなあ」

と妙に出産シーンにシンパシーを感じるようになってしまいました。

赤ちゃんが出てくるまで身体がめちゃめちゃ強張っている……。

いや、あなたのは産んでないのよ?

そもそもこれはフィクションだから落ち着いて?

 

不安や驚きで我が家としてはインパクトのあった手術でしたが、

今のところの術後は順調。

効果が実感できるのは数か月後とのことなので、

夫の身体が少しでも楽になってくれますようにと祈るのみです。

 


人気ブログランキング